優しい雨のように

窓を雨が叩いています。

静かに。

優しく。

あなたのように。

冷たい雨に打たれて。

ひとり、凍えていた私。

あなたを待ち続けて。

ひとり、凍えていた私。

ありがとうございます。

約束、守ってくれて。

もう一度、私に逢いに来てくれて。

嬉しかったです。

雨が窓を叩いています。

静かに。

優しく。

あなたのように。

きっと優しい雨。

すべてを包んでくれる。

すべてを癒してくれる。

そんな優しい雨。

雨音が私の耳に届きます。

夢見心地にあなたを求める私の耳に。

熱い吐息が私の口から漏れます。

夢見心地にあなたを求める私の口から。

あなたの指が、身体の芯を熱くします。

私をもっとあなたに溺れさせようとするように。

あなたの声が、私の心を溶かします。

何も考えられなくなるくらい。

切なげなあなたの声。

優しい口づけ。

絡め合った手と指と。

熱く火照った肌。

全部が全部。

あなたでいっぱいです。

あなたで満たされて行きます。

すべてを埋めるように。

あなたを待ち続けた時間を埋めるように。

私の淋しさを埋めるように。

あなたの悲しみを埋めるように。

――ふたりの距離を埋めるように。

優しい雨のように

もう、雨は止んだのでしょうか?

静かな闇が降りている中。

私は静かにあなたの顔を見つめ。

不意に笑みがこぼれてしまいます。

可笑しいですね。

でも。

とても暖かい気持ちです。

とても懐かしい気持ち。

幸せ。

素直にそう思える私が。

少し可笑しくて。

でも。

そう思える私が。

嬉しくて。

ずっと待っていました。

あなたを。

忘れずに。

ずっと待ち続けていたんです。

あなたを。

辛かったけれど。

雨は嫌いでした。

あなたがいなくなってしまった日を思い出させるから。

ひとりでいたあの時間を思い出させるから。

忘れたくはありませんでした。

あなたのことを。

でも。

ひとりは。

あなたのいない毎日は。

色あせて見えて。

音が失われていて。

孤独で。

あなたがくれた想いが。

痛くて。

苦しくて。

それでも。

忘れるなんてできませんでした。

浩平。

今の私にはこんな言葉しか言えませんけれど。

ありがとうございます。

本当に。

私の素直な気持ちです。

多分。

あなたの前では恥ずかしくて言えませんけれど。

私の気持ちです。

愛しています。

浩平。

もう。

離れないで下さい。

もう。

ひとりにしないで下さい。

私は。

やっぱりあなたが……。

浩平。

あなたが……。

だから。

ずっと一緒にいて下さい。

あなたのいない毎日は。

もう、耐えられませんから。

もう、雨は止んだのでしょうか?

静けさの中、聞こえるあなたの寝息が私の頬をくすぐります。

あなたの温もりが。

私の心を暖かくしてくれます。

私を包んでくれるあなたの温もり。

もう。

離したくありません。

雨は嫌いでした。

あなたがいなくなってしまった日を思い出させるから。

ひとりでいたあの時間を思い出させるから。

でも。

今は。

好きになれるかも知れません。

あなたと聴いた優しい雨音も。

雨の匂いも。

雨の冷たさも。

多分。

好きになれそうです。

浩平。

そんな雨の優しさを。

教えてくれたあなたがいてくれますから。

私を包んでくれる。

私を癒してくれる。

そんなあなたがいてくれますから。

ずっと。

一緒です。

お願いです。

もう。

離れません。

お願いです。

浩平。

おやすみなさい。

-了-