幸せのカタチ〈前編〉

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椎菜優樹さんから寄稿いただいた、ToHeart SSです。

幼馴染みで、いつも笑顔で…

俺といると幸せだって言ってくれた、いつも隣にいるアイツ…

そして今も…

To HeartSS 幸せのカタチ 前編

「浩之ちゃ~ん、待ってよぉ…」

「ったく、おせーぞあかりぃ」

私たちは、無事に同じ大学に受かった。

今までと同じように、一緒に学校に行って、一緒に帰ってる。

浩之ちゃん…がんばったもんね。

「何、ボーっとしてるんだよ」

「な、なんでもないよっ」

今日は天気も良くて、いい気持ちだし…

なにより、浩之ちゃんと一緒に居られるからね…

う~ん、春の日差しは気持ち良いよ~

「気持ち良いなぁ…」

浩之ちゃんも同じ事思ってるね…

たまにはこういうのも良いよね~…

ぽかぽか気分に浸って、のんびりした学校からの帰り道。

好きな人と一緒に、同じ大学に受かって、同じ道を歩んで…

このまま…ずっと一緒にいれたら良いのに…

「なあ、あかりどっか寄ってくか?」

浩之ちゃんが突拍子も無く聞いてくる。

「うん、そうだね」

まあ、いつものことなんだけどね…

「それじゃあねぇ…」

「まあ、どこでも良いけど?」

「そうだ、久しぶりに高校行ってみようよ?」

浩之ちゃんの方を見るとちょっとびっくりした顔になってる。

……ちょっと突然だったかな……

でもね、浩之ちゃんとの思い出がいっぱい詰まった学校だから、いっしょに行きたいんだよ……

「ダメ………かな?」

「いや、そんなことないぜ。どこでも良いって言っただろ?」

良かった……

浩之ちゃんとちょっとでも長い間、一緒にいられる……

今はそれだけで充分だよ…

ほんとは………もっと………

もっと長い間、一緒にいたいんだけどね…

「よし、それじゃあ行くとするか」

浩之ちゃんがぽんっと頭に手をのっけてくる。

「うんっ」

懐かしい高校の教室。

この時間になると、学校に残ってる生徒さんもほとんど居ない。

このへんは私たちの頃とあまり変わってないみたい。

「なんだか懐かしいな、あかり」

浩之ちゃんも、色々思い出してるみたい

私たちの使っていた教室を見てから、屋上へ行ってみる。

「夕焼けが綺麗だね………」

「そうだな………」

少し風が吹いてるみたい……

ちょっと寒いかな……

「寒いのか?」

「あっ、大丈夫だよ」

昼間はもう春だけど、これくらいの時間になるとまだちょっと寒い。

身体が少し震える。

「無理すんな……」

「ひ、浩之ちゃん?」

後ろから、きゅっと抱きしめられる。

暖かい………けど、ちょっと恥ずかしいよ………

「大丈夫か?」

「うん………」

浩之ちゃんに触れられてると安心するよ………

「あかり………」

「なに、浩之ちゃん?」

浩之ちゃんの心臓の音が聞こえる。

力強くて、とても優しい音だね…

突然、ひときわ強い風が吹く。

「キスしても………良いか………」

「え………?」

つぶやくような小さな声だったから、風の音でよく聞こえなかったんだけど……

って、きゃっ……

浩之ちゃんが私をくるっとまわして、正面を向かせる。

顔をゆっくりと近づけて、今度は私の耳元でささやくように……

「キス………してもいいか?」

私はすぐに顔が赤くなるのがわかった…

「………えっ………と………その………く、くすぐったいよ………浩之ちゃん………」

ゆっくり身体を離して、私の顔をじっと見てる……

そんなに見られても困るよぉ………

「…………い、いきなり………変なこと言って悪かった、でもな………」

ちょっとうつむき加減で、恥ずかしそうに言葉を続けようとする。

「いいよ、浩之ちゃん………」

「えっ?」

今度は私がちょっとうつむく。

「キス………しても…………いいよ………………」

声にするとけっこう恥ずかしい。

私はそのままうつむいてしまう。

「あかり………」

「あ………」

浩之ちゃんの顔がすぐそこにあった。

私は少し上を向いて、ゆっくり目を閉じる………

浩之ちゃんの手がほっぺたに触れて…

ちょっと乾いた唇が、私の唇にそっと触れる……

優しく、壊れものを扱うみたいにそっと……

「んっ……………」

あったかいね……浩之ちゃん……

浩之ちゃんの………身体も………心も………

ゆっくり、名残惜しそうに浩之ちゃんが唇を離す。

「………ありがとな、あかり」

「ううん………いいよ………」

急に言うから……ちょっと、びっくりしちゃったけどね。

浩之ちゃんは、照れくさそうにしてるし……

また顔が赤くなっちゃうよ…

「浩之ちゃん……そろそろ、帰ろうか………」

「ああ、そうだな………寒くなってきたし………」

風邪引いちゃったりしたら大変だもんね

浩之ちゃんと一緒に学校行けないのは、いやだもん……

後編へ続く

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