銀盤カレイドスコープ〈vol.2〉フリー・プログラム:Winner takes all?

2013年4月18日

銀盤カレイドスコープ〈vol.2〉フリー・プログラム:Winner takes all?読了。

1巻のインパクトに比べると、安定感が増した分だけ冒険が減ったという印象。作中のタズサのプログラムとはまったく逆ですね。

登場するライバル達の人数が多い割に、紹介にとどまる程度の描写なので、その辺でやや作品世界の厚みを増すことができてないのかなと。最大の壁である、リアについても、完璧という以上の印象が得られず、出来の良い人形に見えたり見えなかったり。

あ~、あとピートとの恋愛模様に踏み込もうとしたりしなかったりで、作品の描きたいテーマがスポーツとしてのフィギュアスケートなのか、奇妙な同居関係を持った男女の恋愛模様なのか、どっちつかずになって発散しているように思えたのがありますね。作者として描きたかったのは前者であるとは思うのですけどね。

しかし、読み進める楽しさは十分に堪能したし、そういう意味で読後感はとても良いものだったなぁと。

プログラムのシーンの描写は非常に上手く、演技前の緊張感、最中の高揚感、終了後の達成感、どれをとってもダイレクトに伝わってくる素晴らしいものでした。作品世界に没入できるという点でも、満足度の高い作品でした。

作品のボリュームも、1~2巻と続けて読む程度にはお手頃なので、一気に読むにも良い感じですね。