陰陽師は式神を使わない

2013年4月18日

陰陽師は式神を使わない読了。

ご、ごめ、予想に反して結構面白かった。その面白さというのは、物語が心躍るとか、そういった次元にものではなく、知的好奇心が満たされるという意味での面白さ。それは、本来の意味での陰陽道と、数々の資料・文献から作者が独自に体系立てた新たな流派における陰陽道の教材という位置づけ以上のものにはならないのでしょう。

古式ゆかしい東洋占術・易経についての入門書としては、それなりに役に立つのでしょうか。占いの解釈を、何かを得ることができるかどうか、外側に求めるのではなく、自らの行動の規範とすべしという卜の考え方については、なるほどという感じで、勉強になりました。

こういう毛色の変わった本を出版させるとは、SD文庫も懐が深いというか、命知らずというか。物語を期待せず、易経についての蘊蓄をひたすら語られるという、悪い言い方をすれば説教臭さを乗り越えると、意外に楽しめてしまうあたりが不思議。作者の文章力あっての芸当でしょうかね。深い。