彼女は帰星子女〈3〉

2013年4月18日

彼女は帰星子女〈3〉読了。

物語の大きな転機。積み上げてきた時間が長くなれば長くなるほど、絹の家族に対する想いというものはかけがえのないものになっていって、けれど自分自身の存在が、そんな大切な人たちを事件に巻き込んでしまう。気がついたときには、離れがたい存在になっていながら、大切だと思うがゆえに下さざるを得なかった決断。苦渋、ともとれる絹の決意は、穂高の告白やら望との拉致事件やら、本巻のエピソードを通して、初めて家族に対して我を通そうとした果てものであったように思います。

情報局の決して表に出せない政治色の強い策略を見せられると、さすがに善人ばかりでないという当たり前の事実に気づかされてイヤになりますね。絹と望は、地球人だとか宇宙人だとかそんなことにこだわらずに、ゆっくりと心を通わせていったというのに、焦りにも似た拙攻で事態を悪化させてしまったり、事態はどんどん混迷していっているような。

穂高絡みのエピソードに一区切りついて、これで本格的に絹と望の、互いの気持ちを形作る段階に来たのでしょうか。割と淡々と進んでいるように見えて、しっかりと時間は進んでいるし、着地点は見えていても、そこへの紆余曲折はまだまだありそうですね。