レジンキャストミルク〈5〉

2013年4月18日

レジンキャストミルク〈5〉読了。

ついに解放される『全一』の虚界渦。その圧倒的・絶対的な力の顕現の描写が本巻のクライマックス、燃え燃えのシーンですね。そこに至るまでの晶の日常の崩壊とか、立ち位置の変化とか、追いつめられる描写もなかなかグッド。

なんというか、ここまであらゆるものを亡くしてしまうと、晶が手にしてしまった力の巨大さが逆に危険でしょうがなく思えてきますね。「そう」思いさえすれば、いかなる世界──自らが存在する《実軸》たる現実世界も例外なく──であろうと根本から滅ぼし尽くせる、およそ考えられ得る最悪の力。硝子絡みで理性を失しやすい現状の晶のままだと、そこを逆手に取られて取り返しの付かない事態さえ招きかねない危険性が紙一重に感じられます。

物語も佳境、クライマックスへ向けてどんどんダークになっていくのか、期待が高まりますね。でも、結果的に、あるいは必然的に、晶に捨てられてしまった、幼なじみな芹菜嬢は、ひどいことになりませんように。