天空のアルカミレス〈3〉アルカミレスキラー・ガール

2013年4月18日

天空のアルカミレス〈3〉アルカミレスキラー・ガール

読了。

本作の的として描かれているテリオンは、その成り立ちからして人間らしい部分を多分に残しているために、明確な悪として認識することが読者にも登場人物にもしづらい部分がありますね。本巻では親をテリオンに殺された人間と、親をアルカミレスに殺されたテリオンという相対する立場のキャラクター同士の交流から、もしかしたらあり得るかもしれない未来を想像させられます。血で血を洗うような敵対を続けてきた2つの種族が、理解し合えて、許し合えるなんて生やさしい未来は簡単には来そうもないですが、ごく一部でも、あるいはそれが異端と呼ばれるものだったとしても、前例があり、そうあろうと願う者がいるならば、可能性を諦めるにはまだ早いのかなと。

主人公と礼菜と日向子の三角関係の行方も気になりますが、礼菜の置かれる状況が確実に悪化していて、それがアルカミレスたる立場の拓也と日向子にとっては、彼女の元へ辿り着いたときに大変な決断を迫る要因になりそう。エピローグでもそんなことを暗示させてるし、当事者は気付かなくとも、周囲の人間はその事態を想定して予防線を張りまくり。着実に情を深めている拓也と日向子の関係を礼菜が知ったとき、礼菜の感情の向く先は日向子であり、どちらも護りたいと願っている拓也がその際に生半可な答えを下してさらに苦悩しそうな予感もしますしね。

クランテリオンの重鎮、グロスマンの行動はお約束過ぎて次巻あたりあっさり退場しそう。鞠子の悲願が果たされるのか、あるいはルスランに討たれるのか。未だにクランテリオンの目指すことが明かされてないけれど、そろそろクライマックスが近そう。

戦闘シーンは相変わらず主人公が発展途上のために爽快感とかとは縁が遠いかなぁ。いきなり超絶パワーアップとかは無理だろうけど、なんか地味であまり盛り上がらないバトルだったなぁ。