戦う司書と追想の魔女

2013年4月18日

戦う司書と追想の魔女読了。

巻が進むごとに、正義の護り手として思い込まされていた武装司書のイメージが、がらがらと崩れていきます。いや、全部代行が悪いんですが。今回もその名に恥じぬ悪逆非道っぷり。その感情を揺らす瞬間を求めるがこそ、善だろうと悪だろうと、楽しそうならば与するという彼女の在り方そのものが、この世界の混沌さをさらに深める原因であるという。こんな悪に染まりきった主役級が居て良いものか!?

今回も緻密に構築されたストーリーと既存の伏線の回収の妙が絶妙です。過去のストーリーを思い出せないと、なかなか楽しめないというデメリットはありますが、全体を通しての完成度はピカイチでしょうねぇ。

そして、正義に生きようとするひとや、自らの望みを愚直に求めようとするひとはほとんど報われないという非情な世界。今回のストーリーを引っ張ったヴォルケンは、自らの信念に殉じる形になってしまいましたが、最後の最後にその信念すらも全くの幻であったということを思い知らせるような怒濤の展開は、本当に容赦ないなと。主にハミュッツのせいで。

そして、いよいよ図書館勢力と神溺教団の激突の瞬間迫る? 今回誕生した無力だけど、それ故にハミュッツすら恐れさせる可能性を持った新たな勢力はどのように関わってくるのか。これまでは主要キャラの1対1の対決がメインだったけど、そろそろ総力戦に突入するのでしょうか?