アンダカの怪造学〈6〉 飛べない蝶々の鳥かご迷路

2013年4月18日

アンダカの怪造学 6 (6)読了。

第2部『ヴェクサシオン編』の一応の区切り。第2部になってから、登場人物も一気に増えて、設定もこんがらがってきた感じがありますが、伊依の苦悩や挫折や様々を経て、自らの信念を実現するための道筋はぶれることなくまっすぐであったように思います。

むしろ、彼女の周囲の諸々の要素──友人や教師や、それこそ怪造学会自体──が、彼女の道程を困難にしているようにも感じます。今回のエピソードで、怪造学会の中枢は大きな打撃を受け、組織としての勢力が大きく殺がれてしまった感があります。そもそも、この物語の黒幕と思っていたヴェクサシオンがあのような形で退場(?)してしまった以上、今後は伊依と怪造学会総長、そしてまだその正体が明らかでない魔王という三つどもえの情勢の中で展開していくのでしょうか。

物語の区切りを超えると、雰囲気ががらりと変わってきたシリーズだけに、次の新章がどのような雰囲気でもって進むのか、期待半分不安半分。光に進むものと闇に進むもの、両極端な登場人物ばかりなので、皆が救われるという展開は望むべくもないのですが、それでも懸命に生きるひとがそれなりに報われるという展開を少しでも期待してしまいます。