BITTER×SWEET BLOOD

2013年4月18日

stars ツンな吸血鬼とビクオドなヒロインの恋路は上手くいくのやら?

自分のことを記憶の片隅にも置いていなかったクラスメイト・片倉ハルに、唐突に首筋を噛まれ血を吸われてしまった主人公・玲子。そこから何か始まるかと期待していた玲子を裏切るかのようにハルはつれなくて、けれど何かにつけて彼も玲子のことを気にしているようで……。

耽美なイラストと相まって、雰囲気が良く出ています。特にハルに血を吸われる玲子の内面の描写とか、夢見がちな少女の刹那的な幸福に浸りたいというような願望が透けて見えたり、でも、そもそも吸血シーンて何かえろいよね、という感じで過度なイヤらしさとかはないけれどもなんとなくえちぃ雰囲気、グッド。

ストーリー的には、ハルの背後に控えている主人の存在とか、吸血鬼たちの能力とか、そういった世界観の深い部分の説明がかなり端折られていながら、当然のようにそれを前提として進行するので、置いてけぼり感と、淡泊な展開が読後に残ってしまいました。

入院していた姉・美幸についても、玲子との関係のぎくしゃくさとかが部分部分で語られただけで、美幸の妹に対する本心の吐露とか、感動的なシーンになりそうなのに割とあっさり流されてしまってもったいないなあとか。

玲子とハルの微妙な関係の進展を生温かく見守るようなストーリーの方が好みですが、まぁ、作品の方向性と相反してそうだし、そういう展開はあんまり期待できないかな。時折見せるハルの不器用なもの言いとかは、何ともらしい感じがしますが、読者的に男が男のデレ描写を見ても萌えないので、こういう作風で刊行されたのは結構珍しいのかな。

まぁ、どうにも腹黒いキャラが後ろに控えてて、ハルと玲子の恋路は道険しい感じがしますが、人間らしい感情をあまり出さないハルが玲子との関係を通してどういう風に変わっていくかというところが、今後シリーズ化されるとしたら気になる部分でしょうか。
愛情表現としての吸血は、とてもえろくて好みなので、今後はもっと描写を増やして欲しいなあとも……(笑)

hReview by ゆーいち , 2007/06/23

BITTER×SWEET BLOOD

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周防 ツカサ
メディアワークス 2007-05