学校の階段〈6〉

2013年4月18日

stars 不器用にけれど真っ直ぐに 神庭幸宏は再び走り出す

山上桔梗院との階段レースの後、階段部の活動にこれまで感じていたような情熱をなくしてしまった主人公・幸宏。そんなときに偶然出会った編入生・御神楽あやめは、彼に親身になり話を聞いてくれて。心地好い彼女の言葉、現生徒会長・遊佐からの生徒会長選への立候補の要請、打ち込めなくなった階段部。追いつめられ、苦悩し、ようやく自分と向き合えた幸宏は、自らの本質をようやく理解する。

話がどんどんと大きくなっていってる感じがしますが、山上桔梗院の面々との個人的な因縁や、天栗浜高校の生徒会長選の背後で対立してそうな勢力図とか、階段部のあずかり知らぬところで、なぜか彼らが中心に据えられてる構成。巻き込まれるタイプのキャラじゃないのに、知らぬ間に言いように利用されてるなあ。痛快さとか爽快さとか、そういった思い切りの良い展開が気持ち良かっただけに、今回の展開は地味目でちょっと燃焼不足かな。次巻は山上桔梗院──というより波佐間──と幸宏の対決と、会長選のお話になるのかな?

しかし、何やらきな臭いオトナの事情が絡んできてるようで、この辺上手く料理しないと微妙な展開になりそうな不安が。

また、今回の御神楽に感じた幸宏の憤りというのは、どうにも彼の本質を理解し切れてないとまさに理不尽に感じそう。まぁ、彼女の描写が嫌らしいくらいに階段部から見た「悪」としてなされているので、ああ悪役なんだなとは分かりますが。彼女が生徒会長になり、何を目指すのか、遊佐は理解してそうだけどその辺をぼかして語るあたり、彼もまた狸だなあ。こんな高校生は嫌です。

で、今回の表紙って誰?

hReview by ゆーいち , 2007/08/29

学校の階段〈6〉

学校の階段6 (ファミ通文庫 (か8-1-6))
櫂末 高彰 甘福 あまね
エンターブレイン 2007-07-30