カッティング ~Case of Mio~

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stars 第1回ノベルジャパン大賞佳作受賞作 大賞作品よりも私好み!

主人公の僕・相坂カズヤは高校で西周ミオと出会った。第一印象のインパクトと、何よりその美貌、そして人を寄せ付けない雰囲気をこれでもかと発する血の滲んだ左手の包帯。興味を抱き、告白し、付き合うことになったふたりは、世間でいうような「お付き合い」ではないけれど、その距離を少しずつ縮めていった。そんな中、起きる事件、明かされる彼女の秘密、自傷の理由。それを前にカズヤが選ぶ道は……。

序盤はちょっと痛々しい理由を抱えた男女が出会って、仲良くなっていく、そんなボーイミーツガールものだと思っていたら、中盤でかなり驚愕な事実が明かされて良い意味で裏切られました。そこへ至る過程も、不器用な会話が少しずつ互いを知っていくための会話へと発展していったりと、距離の近づきの表現の丁寧さとかはなかなか良い感じでした。ふたりが哲学書やら小説やらを読みながら交わす会話はどれも今時の高校生のような軽薄なものではなくて、こんなのいねーよと思いつつも、こういう会話は正直好きです。地の文の言い回しも好みに合っているし、心地いいテキストですね。

ふたりの抱える他人には理解できない思いとその理由は、特にミオについてはその出自が絶望しても仕方ないくらいの壮絶なもので、それが明らかになるシーンのグロテスクさは、久々に大打撃を受けてしまいました。
受け入れがたい事実と、それによって断絶してしまうふたりの関係。互いのことを思いつつも、それを上手に表現できず、傷つけてしまうことを選んでしまうジレンマの痛みと後悔の苦み。そういう青春の青臭さも良いテイストです。

終盤に登場するもう一人の物語の歯車の犠牲者であり、敵役である少年とか、ジョーカー的に物語を収束させるために立ち回った先輩とか、ちょっと大仰になりすぎた感じの盛り上げ方だとは思いましたが、危機の中のミオの決意だとか告白だとか、過去の乗り越えだとかはやはり名シーン。そこからつながるラストシーンもさわやかで気持ちいいものでした。

この世界観をベースにお話は広げられそうだけど、今後シリーズ化されるとしたら楽しみな作品。ノベルジャパンの大賞受賞作や優秀賞受賞作よりも私は好みの一作でしたね。

hReview by ゆーいち , 2007/09/05

カッティング ~Case of Mio~

カッティング ~Case of Mio~ (HJ文庫 は 1-1-1) (HJ文庫 は 1-1-1)
翅田 大介 も
ホビージャパン 2007-06-30
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One Trackback to カッティング ~Case of Mio~

booklines.net
booklines.net 2007年9月6日 at 8:51:55

[翅田大介] カッティング Case of Mio…

西周ミオ。才色兼備という言葉がぴったりな彼女は、しかし孤独な香りがしていた。彼女自身壁を作っていたこともあるし、何より左手に巻かれている血の滲んだ包帯が近づき難い雰囲気…

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