彼女はQ〈クイーン〉

2008年8月20日

stars 単なるギャンブルものかと思ったら 意外に設定ぶっ飛んでます

高校の入学式で、あこがれの古座間聖人の背中を眺め続けていた看楽倉美子は、彼と同じ壇上に立つ灰谷亜美夏に度肝を抜かれる。聖人を狙う亜美夏に、彼を取られまいと勝負を挑む倉美子。勝負の方法はギャンブルで。そして、亜美夏にはなんとしても60兆円という途方もない金額を稼ぎあげる理由があって。

キャラの魅力はともかく、ギャンブルシーンの緊張感はなかなかのもの。イカサマありで心理戦重視になると、なぜだかジョジョのダービー戦が浮かんできますが、そんな感じ。
あらゆる手段を弄して、勝ちを掴む亜美夏のキャラは、けれど作中で語られてるほどに勝ち続けてる印象がないのは、対戦する相手も一筋縄では行かないせいなのか。

SF設定が盛り込まれているけど、あんまり必要性を感じないなあ。今後の展開のための伏線かもしれないけど、この作品1冊で考えると、なくても問題ない気がします。亜美夏の目的たるとんでもない金額の回収の理由付けとしてもちょっと無理があるかなあと。

文字通りのジョーカー的な役割を果たした倉美子は、聖人のことになると脳内言語がひらがなオンリーになったりかわいいキャラ。彼女の数学の天才という設定はほとんど活用されなかったけど、所々で和ませ、最後の起死回生の一手を担うなど、美味しいキャラでしたね。
逆にラスボスがどうにも小物感あって仕方なかったですが。

で、続きは出るんですかね。結構面白かったので続刊も買う方向です。

hReview by ゆーいち , 2007/09/08

彼女はQ〈クイーン〉

彼女はQ〈クイーン〉 (電撃文庫 よ 3-3)
吉田 親司
メディアワークス 2007-08