ムシウタ 00.夢の始まり

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stars 大助、詩歌、利菜 それぞれの夢の始まりの物語

初めての実戦任務に参加した“かっこう”は、“ふゆほたる”と出会う。物語の始まりを告げるエピソード。それは白い雪に染め上げられた中の、ほんの短い邂逅の物語。
そして、死してなお、多くの人の心の中に息づく、利菜という少女が、遠く叶わぬ夢を抱くきっかけとなった生誕の物語。

“虫”という存在が、本編ほどに認知されていない過去。身近な人間が、自分と同じものから、虫憑きという異形へと変貌してしまうことで生まれる、強烈な拒絶と縮まることのない隔絶。ささやかな夢を抱きつつも、それを叶えることはおろか、持ち続けることすら否定されてしまうかのような、弾圧の強さが描かれた2編のエピソードでした。

『夢の始まり』では、“かっこう”と“ふゆほたる”の最初の出会いと別れ。ほんのひととき、心を通わせあったかのような幼い二人の夢の交換。野心に燃える土師と大助の利用し利用される利害関係に基づいたかのような奇妙な友情。そして、今は“むしばね”に属している“なみえ”に降りかかった理不尽な出来事。暗い。暗すぎる。けれども、まだ、そこには確かに未来への希望が感じられているのです。本編では誰も彼も傷付いて満身創痍なのがなおのこと痛々しいのですが。

そして、『夢の黄昏』では“むしばね”のカリスマとしてチームをまとめていた利菜の始まりの物語。特殊な家庭に生まれ、両親からの歪な期待と、薄幸な愛情に育てられた幼い人格が、どのように“むしばね”結成へと傾いていったかの片鱗が語られます。幼くして、人心を束ね、また、誰かを救わずにはいられないという難儀な性格ゆえに、彼女に初めて救われた三人の虫憑きとの奇妙な関係も、また彼女の数奇な運命に綴られる1つのエピソードだったということでしょうか。仄かに抱いていた、幸せになりたいという夢すら心の奥底に封じ込め、別の夢で蓋をした彼女の顛末をすでに知っているだけに、しんみりとせざるを得ない過去談でしたね。
9巻に登場した秘書は、多分彼女なんだろうなあ。こういう複雑に絡み合った人間関係に、後になって気付かされるというのも、奥深さを感じますね。

hReview by ゆーいち , 2007/10/24

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One Trackback to ムシウタ 00.夢の始まり

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booklines.net 2007年10月25日 at 8:51:41

[岩井恭平] ムシウタ 00.夢の始まり…

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