ご愁傷さま二ノ宮くん〈8〉

2008年9月14日

stars 傲岸不遜な神戎の姫登場 彼女の「宿題」に峻護が出した答えは?

ヒルデガルト・フォン・ハーテンシュタインは傑出した神戎である。峻護を攫った彼女は、涼子・美樹彦の嘆願により真由を救うために二ノ宮家へ降り立つ。規格外で、あらゆる面において隔絶した性能を誇るヒルダは、峻護に告げる。己の価値を示し、自分を動かして見せろ。さもなくば死ぬまで奴隷としてその精気を絞り尽くしてやると。

前巻までの京都編がもう微妙でどうしようかと思っていたら、意外に面白かった第8巻。新キャラ・ヒルダの登場で、物語が一気に加速していきます。そして、ラストでは真由に封じられていた、もう一人の彼女の正体が明らかに……ってここはホントに早い段階で予想が付いてる部分ですが。

設定的に最強キャラが出てきて、ある程度風呂敷は広げ終わった感じ。あとは未だに明かされていない、麗華や真由の中に潜んでいる、もうひとりの存在の意味、そして神精と目されている峻護の今後ですかね。今回、麗華は思わせぶりなことを語り、真実を告げられる立場にありながら空気だったしなあ。帰路の空上で、何を告げられたのか、情報の出し惜しみされるとちょっともやもや。

超然とした存在であるヒルダの価値観とか行動理念とか、その辺については、まぁ、お話ですしね。彼女の気まぐれ一つで世界が傾きかねないにしては、どうにも安っぽい理由で動いていたものです。齢10歳超にして枯れてしまっては、確かにこの先の人生楽しみはないとはいえ、彼女の孤独や倦怠、周囲との断絶に感じる様々な感情が作中であまり描写されてない辺りが、彼女の浮世離れした存在を描いているようで、けれど彼女に共感はできなくて微妙なところ。

エピローグは、また良いところで引いてる感じ。この調子だと10巻くらいで完結できるのかな。変な引っ張りはなくして、あとは大団円へ向けて進んでほしいところ。

──そうか、最近うちのサイトの検索語で気になっていた「ご重傷さま二ノ宮くん」とは、このエピソードのことを示していたんだよ! ΩΩΩ<な、なんだってー!?

お後がよろしいようで。

hReview by ゆーいち , 2007/11/03