BITTER×SWEET BLOOD/CANDY COLORED

2008年8月7日

stars 吸血鬼の彼氏との危険な恋

ハルと付き合うことになった玲子。ハタから見ればぶっきらぼうな彼に振り回されるように見えて、実際は社会の裏にひっそりと根付いている吸血鬼のコミュニティの住人の一人との、決して表沙汰にはできない関係。大きな進展もなく、煩悶しながら過ごすある日、玲子のクラスにフランスからの留学生・マリアがやって来て……。

吸血鬼の彼氏との恋愛物語第2弾。やっぱり雰囲気が妖しい感じで、ラブでコメな物語ではないものの、自分の感情を表に出さない仏頂面なハルと、奥手だけど恋愛にドキドキしている玲子の、初心なやりとりがなんとも微笑ましいですね。突き放したような態度をとりつつ、玲子が危険な目に遭いそうになれば、その身をもって守ったり、頼りになるナイト然ともしていて、前巻に比べて好印象。彼の過去が少し明かされて、つかみ所のない漠然さが薄れて、移入できる余地が出てきたように思います。

今回は、青木と、留学してきたマリア、そして青木の幼なじみである佳澄たち物語も大きな柱でした。吸血鬼の社会で生きる人間から、吸血鬼に成りたいと望む青木と、特殊な事情を抱えるマリア、ふたりの関係を勘違いし、切ない思いに苦しむ佳澄と、三者三様の苦悩が描かれていて切ないですね。遮二無二目的に向かっていた青木がはたと気付かされた事実は大切なもの。同じ人間同士だけれど、住む世界が違う青木と佳澄の関係はどう転がっていくのか?

そんな中、ハルと玲子の初めての喧嘩と仲直り。少しだけ勇気を持てた玲子の内心は、これまた元気が出るような、一生懸命さが伝わってきて暖かい思いに満たされます。これからどんどんふたりが素敵な関係になっていけるといいなあと思えるラストでした。

hReview by ゆーいち , 2007/12/17

BITTER×SWEET BLOOD/CANDY COLORED

BITTER×SWEET BLOOD/CANDY COLORED (電撃文庫 す 8-6)
周防 ツカサ
メディアワークス 2007-11