嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん3 死の礎は生

2008年8月7日

stars みーくん 狂気の狭間で××をさけぶ?

犬やら猫やらが惨殺される事件が起き始めた今日この頃いかがお過ごしでしょうか。バレンタインに数年分の思いを形にしてまーちゃんから受け取るみーくんは、うっかり彼女に「太った?」とか訊いて、文字通り身を削ろうとするまーちゃんを懸命に止めたり止めなかったり。そして、みーくんは死んだはずの「にもうと」っぽい血まみれ姿の誰かとその夜遭遇する。翌朝知った、惨殺死体発見現場から逃走しようとしたとおぼしき彼女と。

さすがに3巻まで出るとみーくんの名前も大方の人が予想付きそうですね。にもうとの名前とみーくんの名前に両方共通している漢字が、みーくんが忌避する言葉で、けれど、ついに彼はまーちゃんにその言葉を告げてしまって。そこは嘘じゃないんだね。

当たり前のように、空気感染したかのように、狂気が広がっていく。中心にいるみーくん、まーちゃんは、今回はなんだか表の事件では蚊帳の外だけれど、裏の事件では思いっきり当事者。歪んだ愛に突き動かされるまーちゃんも、にもうともみーくんを「好き」と思う気持ちでは同じだったのかな。ただ、ふたりに共通しているように、自分たちの世界に他人は要らなくて、どこまでも狭い世界で在り続けることを望んでいる、純粋すぎる狂気が突き刺さるくらいに伝わってきますね。いや、事実突き刺さるんだけど。

今回、嘘つきで通してきたみーくんが、ついに突きつけられた誤魔化しのきかない選択肢。嘘も欺瞞も妥協もかなぐり捨てて、叫んだ言葉は届いたのか? 誰かの死の上に成り立つ誰かの生。誰かの生の結果としての誰かの死。それを受け止め、背負い、重圧に潰されそうになるのを嘘をつくことで逃げるみーくん。その冗句も通じない極限下の選択に正解はないし、また間違いもないのですな。

hReview by ゆーいち , 2007/12/23

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん3 死の礎は生

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 (3) (電撃文庫 い 9-3)
入間 人間
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