アスラクライン〈9〉 KLEIN Re-MIX

2008年8月18日

stars 智春の隠された素養が開花!? そして物語は核心へ……

操緒の姉・水無神環緒に会いに行く智春たち。行方をくらませた彼女の現在の所在は、日本国内のとある女子大。智春は様々な事件に巻き込まれたおかげで開花させた、とある人には言えない才能でもって、警戒厳重な女子大の学生寮への潜入を図る。他、智春の受難の日々を描いた短編集。

智春がいろいろいじられるお話。次巻へ続くエピソードは、最後に収録されている「メモリー」で、そこが半端に終わってしまってるので、全体の構成を見ると消化不良なこと甚だしいんですが。

その分、コメディ要素が前面に出ていて、智春がどれもこれも女装させられてしまうという災難に見舞われてなんともご愁傷様なんですが、なんだかんだでその滑稽さが面白くてところどころ吹き出してしまいますね。

しかし、佐伯兄は作中でも──過剰な正義感はともかく──まともな人格を持っていたかと思ったら、何とも天然で智春の女装を見抜けずに懸想してしまうのはさすがにかわいそうに思えてしまいます。彼もいろいろ心に痛手を受けているのに、さらに塩を塗り込むような展開はなあ……。

ということで、これからの展開は、結構重めになっていく前の閑話休題。操緒の姉と奏の奇妙な会話とか、1週目の世界の真実とか、謎が散りばめられたまま次巻待ち。早く続きが読みたいですね。

hReview by ゆーいち , 2007/12/30

アスラクライン 9

アスラクライン 9 (9) (電撃文庫 み 3-24)
三雲 岳斗
メディアワークス 2007-12-10