ぼくのご主人様!?〈5〉

2013年4月18日

stars これが最後の入れ替わり!? 石段が失われる前に元の世界に戻れるか?

吉朗たちの世界で石段の取り壊しが1週間後に迫った頃、吉朗・麻琴・千広の3人は、見納めとばかりに一堂に会していた。ところが、突然の地震でバランスを崩し、石段を転げ落ちそうになった麻琴をかばい、一緒に転げ落ちた吉朗は、あろう事かまた吉香と入れ替えってしまい……。

4巻でもきれいにまとまっていて、これ以上続きが出るとは思っていなかったシリーズの第5巻。これで本当に一区切り。全体の展開としては、前巻であちらの真琴と吉香はある形で結論が示されたためか、今回はこちらの吉朗と麻琴の関係がメインに。まぁ、麻琴・真琴はほとんど出番が無くて、主に活躍したのは吉朗と吉香でしたが。

それにしても、名前が似ている上、入れ替わった人物と入れ替わっていない人物が混在しているので現在の登場人物が把握しづらいでしたね。大盤振る舞い的に何人も一気に登場するので手こずりました。

ラストに至るまでに明かされたことは、入れ替わりが起きる石段と社が造られた理由。そもそもの入れ替わりが起きてしまう仕組みまでは明らかにはならないので不思議は残ったままですが、石段が失われたことでこの地この場所で同じような現象は滅多なことでは発生しなくなるという形に落ち着きましたね。タイムリミットが迫り、確実に元の世界に戻る方法が見つからない焦燥や、予想外の闖入者の登場で場はかき乱されましたが、これまでの物語で感じたやや重めの空気でなく、軽い感じで展開していったのが予想外でしたね。

ラストはラストでいい感じだとは思うんですが、それぞれの想い人との関係が深くなっていく前に完結してしまったのがやや残念ですね。それぞれの世界のふたりが、それぞれの世界で、彼らなりの幸せを掴んでいるというシーンは、作中で見たかったなあ。

hReview by ゆーいち , 2008/01/06