モーフィアスの教室〈2〉楽園の扉

2008年8月7日

stars ……直人。わたしが人間じゃないと分かって、怖いと思わなかった?

〈夢神〉ヨミジを倒し、モーフィアスを手に扉の民として〈赤い目〉と戦う決意をした直人。しかし、悪夢にうなされる夜は毎日のように訪れ、学校の保健室で、綾乃に側にいてもらい眠ることも、彼女の素行が注意された日を境に難しくなる。そんな綾乃が決意したのは、直人の家に押しかけ一緒に住まうこと。直人の妹・水穂は綾乃に敵愾心を燃やすが、新たな〈夢神〉は水穂も巻き込み迫ろうとしていた。

〈夢神〉との決着を付けるバトルよりは、そこに至るまでの過程が怖い怖い。思い出の中の遊園地。楽しかった記憶の拠り所となる思い出の場所が、一転、凄惨な殺戮の場に変わる恐怖。真っ暗な遊園地って、絶好のホラースポットですねえ。そして、〈夢神〉の正体というか、その在り様もまた怖い。身近にいる人間が、いつの間にか入れ替わり化け物と化すというお約束ですが、それに気付いても信じたくないという心理というのは良くわかります。

綾乃は、自らの秘密を棗に明かしたり、これまでの頑なさから、やや軟化した印象。ただ、綾乃自身が望んでいる未来と、彼女の口から語られる建前の乖離は、今後の直人との関係の他にも、棗や水穂との関係にも大きな溝を生んでいるのではないでしょうか。直人のことを少なからず想っている、棗や水穂からすれば、ふたりだけで共有している秘密の内容がどうであれ、それを看過できないでしょうしね。

そんな意味では、彼女たちの嫉妬フラグは今後の悲劇へのフラグともなりそうで戦々恐々。変な風にこじれて行かなきゃ良いけど。でも、盛り上がる方向としては、そういう四角関係ですよねー。

hReview by ゆーいち , 2008/03/26

モーフィアスの教室2

モーフィアスの教室 2 (2) (電撃文庫 み 6-21)
三上 延
メディアワークス 2008-03-10