ウィザーズ・ブレイン〈2〉楽園の子供たち

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stars ヘイズさん……運命って、変えられると思いますか?

上空二万メートルを人知れず漂う島は、自らの身体を変化させて戦う《龍使い》と呼ばれる魔法士の研究施設だった。ヴァーミリオン・CD・ヘイズはモスクワシティの軍の依頼を受け、サンプル回収の任に就いた。やむにやまれぬ事情で、研究施設で暮らす少年少女四人と暮らすことになるヘイズ。不明な点と、暴走の危険性を孕んだ《龍使い》の彼らは、けれど外界とは隔絶されたかのような穏やかな毎日を送っていて……。

前巻の神戸シティの壊滅からしばらくした後の物語。今は失われてしまった北京シティにて生み出された《龍使い》たちの運命に抗うための物語。

天真爛漫に、今の生活を疑うことなく受け入れているファンメイとシャオロン、何か隠している様子だけれど、それをふたりに見せることのないカイとルーティ。そんな四人だけの楽園に、ヘイズが訪れたことで始まるのは、彼らの世界を激変させ崩壊へ導く、容赦なき真実という名の絶望。

幼さの残るファンメイとシャオロンの間にほのかに生まれていた恋心だとか、外の世界へ抱いていた希望だとか、そんなものは粉々に打ち砕いて、ほんの一握りの未来しか残さない展開。まぁ、ラストには、多少なりとも救いが残っていますが、前巻でもそうでしたが、失われるものに対して、残されるもの、あるいは手に入れられたものの小ささが、この作品の世界観を良く表していますね。

仕事に冷徹になりきれないヘイズのキャラクターも魅力的。なんか、彼の能力は素晴らしきフィッツカラルドだけど。欠陥品とも称される歪に進化した自身のI-ブレインの使い方とかは、彼の辿ってきた過酷な人生に対する、彼の精一杯の反抗の証にも見えます。相棒のコンピュータ・ハリーとの掛け合いも楽しいし、再登場に期待したいところです。

魔法士として生きること、望んでもいないのにそのように生まれてしまったこと、それによって背負わされる運命は、抗いようのない大きな壁のようで、けれど、このエピソードのように何もかもを失いながらも抵抗し続け自由を得た物語があるのなら、反対に失意に呑まれて閉ざされてしまった物語もあるんでしょうね。

人類が生きづらい世界、そんな中でもさらに過酷な生を歩まされる業を背負った彼らに、青い空と陽の光が届く日は訪れるのでしょうか?

hReview by ゆーいち , 2008/04/17

ウィザーズ・ブレイン〈2〉楽園の子供たち

ウィザーズ・ブレイン〈2〉楽園の子供たち
三枝 零一 純 珪一
メディアワークス 2002-01

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