11eyes-罪と罰と贖いの少女-

2008年5月11日

11eyes-罪と罰と贖いの少女-

Lass のゲームは 3days 以来。世界観が共通してるっぽいので、その辺も期待してプレーしました。登場人物の一部と設定の(微妙に深い部分)が共有されてるので、3days プレー者にはにやりとできる部分が多かったですね。

あちらが、グロな描写を売りにしていたのに対して、本作はある意味王道を走る、燃え系バトル作品に仕上がっています。魔術やら陰陽道やら超能力やらごった煮な雰囲気ですが、最近の異能ものってこんな感じだよね? 的に受け入れやすい世界ではありますね。設定部分もかなり詳細に詰めてあるのか、過剰なまでの蘊蓄が感じられたりしなかったり。いやぁ、十五雷正法なんて、『うしおととら』以来ですよ、見たの。あとは、禁書目録はどうしても電撃なラノベを思いだしてしまうなあ。あっちは、十万冊強だけどさ。

全体的に良い仕上がりです。共通部分の多さだったり、ルート分岐の意味のなさだったり、中盤は微妙にだれたりするんですが、最後まで通してみると盛り上がる部分は盛り上がっているし、バトルものとしてはなかなか良い作品だったと思います。

逆にキャラクター的な側面から見ると、攻略可能なキャラの専用ルートとなる部分が、エピローグ部分にほぼ集約されているので、もうちょっといちゃいちゃしたりするシーンが見たかったなあとか。あと、栞ルートがないのはバグでしょうかそうでしょうか?

また、だらだらキャラごとの感想書いたりしてるので、続きを読むの後で。

世界設定の根幹に、キリスト教における7つの大罪やグノーシス主義を取り入れ世界観を構築しているので、その辺の知識があるとより楽しめるんでしょうね。紅茶奴隷さんのえろげー雑記(34)「世界に倦むグノーシス」などを読むと、なるほど、後半明かされる設定について作中で語られている内容から、もう一段踏み込んだ理解が得られそうです。

さて、7つの大罪は、Wikipedia によると、

  1. 傲慢 … ラテン語:superbia
  2. 嫉妬 … ラテン語:invidia
  3. 憤怒 … ラテン語:ira
  4. 怠惰 … ラテン語:acedia
  5. 強欲 … ラテン語:avaritia
  6. 暴食 … ラテン語:gula
  7. 色欲 … ラテン語:luxuria

と表されます。作中でも語られたとおり、敵となる黒騎士の名前そのものであり、また主人公サイドのキャラクターが持つ虚無の欠片が6つであること、色欲はリーゼロッテが当てはまっているため、他の6つがメインキャラに対応すると想像されます。明確に作中で対応が分かるのは、ゆか、雪子、賢久あたりですが、他のキャラの立ち位置から考えると

  • 傲慢 … 美鈴
  • 嫉妬 … ゆか
  • 憤怒 … 雪子
  • 怠惰 … 菊理
  • 強欲 … 栞
  • 暴食 … 賢久
  • 色欲 … リーゼロッテ

とでも対応するのでしょうか? この辺も作中での言動や活躍、彼らが抱える過去や問題など、キャラ設定に関わってそうですね。

以下はキャラクタールートクリア順の雑感。ネタバレ上等です。

水奈瀬ゆか

病んでますね。活躍の出番が少ないわ、庇護の対象でありながら、挙げ句の果てにその嫉妬心から駆の足引っ張るわ、評価の分かれそうなキャラですね。基本、幼なじみなキャラは好きなんですが、そして、実際日常のやりとりとか悶えそうな部分も多いんですが、終盤の彼女の変質……あるいは本質の描かれ方がちょっと苦手な類ですかね。彼女本ルートでは、ゆか自身は救われるんですが、他のキャラと結ばれたルートにおけるゆかの扱いとか駆との関係を想像すると、なんともやりきれない思いに。

広原雪子

月子の名前が出てきたりと3daysとの関連が大きいキャラですね。言動も月子互換というか、はっちゃけ具合が楽しいキャラでした。

その分、背負わされた業というか、過去は主人公サイドの中でも最重とも言えるもので、それが共通ルートでほぼ明かされて、彼女の救済についてはかなり急ぎ足というか、それで良いのかな感じで決着してるのが残念。

どっちかって言うと、サブルートでの賢久とのやりとりの方がしっくり来てるし、賢久自身の魅力もあって、雪子は賢久とのカップリングの方が良いかなあと言う感じなんですが。どうにも本編では賢久が割を食っているというか、物語の都合上、犠牲になっている感じがして、その辺は別の展開があったりしても良かったんじゃないかなあとか思ったりもします。

草壁美鈴

雪子共々、バトル方面では八面六臂の大活躍。ヤムチャ化が心配されましたが、ヒーローものの挫折からの復活を経て、最後の最後で役立たずになるというションボリな展開がなかったのが幸い。専用エピローグでは、ある意味、自身が夢見ていた女としての幸せも手に入れられて、作中通してかなり報われてるキャラなんじゃないですかね。

草壁の名前は 3days でもかなり重要な位置にあって、草壁遼一とかは大きく物語に関わってたりしましたね。すっかり忘れてましたが。だって、ヴァルターのインパクトがスゴいんだもん、ベジータ。

橘菊理

ジョーカー。彼女専用のエピローグで明かされる後日談はアリなのかどうか微妙なところですが、まぁ、ハッピーエンドならそれはそれで価値があるのかなあ。万能すぎるにもほどがあります。

というか、エピローグは語られなかった設定の補足とか、広げた風呂敷を畳むためのデウス・エクス・マキナとして彼女の存在が設定されてるんじゃないかとも邪推したくなりますね。設定的にそういう立ち位置を与えられてるんだから、仕方ないんでしょうけど。

キャラ的には、スケッチブックを使った演出とかはくどいと思いつつも所々で有効に使われてにやにや。微妙に腹黒キャラに見えたりしましたが、やっぱり、黒いのかなあ(笑)

百野栞

腹ぺこシスターじゃない方のインデックス。なんでサブキャラなんでしょう。ヘタすりゃ一番人気になりかねないのに。というか、特典の種類は栞多くね?

物語本編に関わってくるのが遅すぎるのが残念。序盤の選択で図書館行ったら、彼女のルートが開けると期待した時期が私にもありました。

日常パートでの匡、香央里らとの掛け合いも楽しいし、毒舌キャラとしても井村屋ボイスが良い感じで、魅力的なんだけれど、ああ、なぜルートがないんだろう。

そんな感じで

いや、大作ですよ大作。でも一周目終わってしまうと、あとは各キャラルートのエンディング回収作業になってしまうのはどうかという問題も抱えてますが。

バトルは燃えるし、ストーリーもよく練られていて、日常と非日常の反転の唐突さなども演出の力が手伝って良い感じ。終盤で明かされる、文字通り世界が反転するような事実とかは盛り上がりとしても申し分ないので、一周目は非常にノリノリで進められるんですよね。

逆にシステムのクロスビジョンとかは、使いづらい部分もあって、新規に解放された項目が直感的に分からないのと、連鎖してオープンする項目を追っかけるのが大変というあたりが難有りでしょうか。選択肢までスキップとかは使いやすくて良いんですけどね。

音楽は全体的に良曲多し。歌は良いですね。CD欲しい。バトル曲とかテンション上がるし、雰囲気にあった曲が多くて音楽だけ聴いていても悪くない感じです。

そういった意味では、3days との世界観のシェアを上手いこと果たしながら、作品としての完成度をしっかり上げて来てますね。Lass のライン的にはこういう路線とポップな路線の2ラインで行くんでしょうか。また伝綺ものの作品が出たら要チェックですかね。

11eyes-罪と罰と贖いの少女- 3day's ~満ちてゆく刻の彼方で~ 限定版 PCゲーム「11eyes-罪と罰と贖いの少女-」オープニングテーマ「Lunatic Tears」 PCゲーム「11eyes-罪と罰と贖いの少女-」エンディングテーマ「穢れ亡き夢」