オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder

2008年7月3日

stars 希望があるから生きるんじゃない。生きていることが最後の希望なんだ。

「初めて仕事で人を殺したときのこと、覚えてるか?」。その質問に答えを持たないのは MPB の特甲児童3人に共通している。失われているのは初出撃の記憶。記録さえも機密扱いで自分の過去を探ることすら出来ないことに、涼月は疑念を抱く。そして、その疑念が確信へと変わる。“特甲レベル3”、“人格改変プログラム”その言葉の向こうに、失われた記憶が在る。

うぎゃぎゃぎゃ。なんだこの嫌らしい展開は。今回はスプライトとの連携は少なめ。あちらのとんでもなく長い一日の背後では、MPB の彼女たちが、失われた過去の記憶との対峙を余儀なくされていて。そして、あちらでも姿を見せた、ヤバげな特甲猟兵と夕霧との関係が、これまた心痛い結末を予感させられる形で語られていて。

涼月、陽炎、夕霧と、それぞれが過去を失くし、新しく築かれた関係の中で、互いの絆を尊重し合い、チームであることを拠り所としている感じで。けれど、戦いが激化すれば、敵が強大化すればするほど、それに抗するためにはチームであることを諦めなければならないという可能性が提示されてしまいます。そして、それは、過去に起きた特甲児童同士の戦闘行為の原因でもあり、スプライトの方で凰が負っている傷の原因でもあって。未だつまびらかにされざる、その事実は、これからの彼女たちの戦いにどんな影を落としていくのか。

リヒャルト・トラクル逮捕の知らせが報じられ、動揺を隠せない涼月たち。プリンチップ社と白霧の繋がりのこれからは、そして彼と繋がったままの夕霧の行く先は。見えない爆弾を抱えつつ、物語は続いていくのですね。

hReview by ゆーいち , 2008/06/29