時載りリンネ! 3.ささやきのクローゼット

stars 私、ぜったい今日のこと忘れないわ。いつまでもいつまでも憶えているわ。

時砕きとして承認されたリンネに、先輩時砕き・ハルナが渡したのは、時砕きだけが所持できるという道具の詰まった大きなトランク。その中のひとつ、時の把手と呼ばれる不思議なドアノブは、それを取り付けた扉をバベルの塔へと繋ぐためのものだった。冒険心を刺激されバベルの塔を探検するリンネと久高。そこでふたりは、塔の住人の少女と出会う。

[tegaki]友情・努力・勝利![/tegaki]

冒険といえば様々な難問に知恵と勇気でぶつかって、それを乗り越え芽生える友情、昨日の自分よりもっと成長した自分。これまでのエピソードに比べて、リンネの時砕きとしての戦いのシーンがなくなったかわりに、リンネと、バベルの塔の中で出会った少女ネリーとの友情のはぐくみがしっかりと描かれていて良い感じですね。

魔法のドアノブでバベルの塔へ直通する扉を手に入れたリンネ。塔内で過ごした時間は、リンネたちの街で過ごす時間の1/25しかないことから、たっぷり遊べるなんて思ってしまったのが運の尽き。ネリーとリンネの過ごす時間のずれが、リンネが想像していたものよりずっと大きいこと、待つことと待たせることの意味の違いに気付いて心を痛めるリンネの優しさは、彼女が成長したことの証でしょうか。

そして、街に憧れ、街で短い時間を過ごし、しかし、そのせいでネリーの身に起こってしまった出来事の責任を取るために必至になるリンネ。リンネだけではできないことも、久高と、リンネを支えてくれるひとたちの助けがあれば成し遂げられる。みんなの気持ちと助力があってこそ、未熟なリンネはネリーを助けることができたわけで。今までの無鉄砲な感じだったリンネから少しだけ成長した感じが得られましたね。

ラストのネリーからの手紙もずるいなあ。ネリーにとっては無二の親友となったリンネ。時間という断絶に、ふたりは引き裂かれているけれど、未来で交わした約束を果たすために頑張るネリーと、少しずつ時砕きとしての自覚を得て、成長していくリンネ。再会の約束はいつかきっと果たされる、それだけは確信できますね。

いやいや、良いお話でした。

hReview by ゆーいち , 2008/08/24