てとてトライオン!

2009年4月29日

てとてトライオン! 初回版

[tegaki]あー、楽しかった![/tegaki]

1日1キャラのペースで進行。コンプリートしました。

もはや唯一のデフォ買いブランドと化している PULLTOP の新作とあっては乗り遅れるものかと、私としてはかなりのペースで消化した感じ。いや、ほら、買っても1ヶ月積みとか当たり前のひとなので……。

前作の『遥かに仰ぎ、麗しの』がやたらとボリュームがあって時間がかかったのに比べると、今作は割とあっさりとコンプリートできたのかな。かかった時間的には15時間くらい? 音声じっくり聞いてるともっとかかると思うけど、先が気になってついつい忙しなく進めてしまうのは善し悪しですねー。

獅子ヶ崎学園に転校してきた主人公・鷲塚慎一郎の周囲で巻き起こるドタバタ。いやもう、ドタバタというのが本当に似合うお話ですね。大盛り上がりのストーリーとか、感動の展開とか、そんな方向ではなくて、ただただ居心地の良い世界で、気の良い仲間たちと送る毎日を、とことん楽しませようって、そんな気持ちが伝わってくるかのよう。

PULLTOP 作品で描かれる世界って、そういう「居心地の良さ」が本当に私の好みに合致していて、そういった意味では、世界観の構築が見事ということなんでしょうか。まぁ、そんな小難しいこと言わなくても、この世界に浸っていられるという気持ち良さが感じられるんだから、それだけでも万々歳ですが。

で、そんな心地良い世界だから、その世界で動いているキャラクターたちの一喜一憂が我がことのように嬉しくて、だから、大きな仕掛けとかなくたって自然と笑顔になれたり。って、そういう作品にまた巡り会えたってことがやっぱり一番嬉しいな、と。

んじゃま、キャラ別雑感とかはまたネタバレ全開で行きまっしょい!

十倉 手鞠

[tegaki]てまー。[/tegaki]

登場直後からラブラブ光線照射しまくりで、やたらと可愛いんですががが!

どっちかっていうと、手鞠を攻略したというよりも、手鞠の猛烈アタックが実を結んだという、そんな感じのお話でしたね。主人公スキルの「鈍感」が常時発動してるような、まぁ、それは他のルートでもそうですが。

親同士が親交深いって設定、あんまり生きてないけど、手鞠の父親の親バカっぷりにはにやりとさせられましたね。子どものために、幸せな環境を与えてやろうという(半分はた迷惑な)親心の共感とかは、なんとはなしに感じ入るものがありましたが。

いや、まぁ、そこへ至るまでの紆余曲折も鷹子さんが最大にして唯一の障壁みたいな感じで、もっとそこで手こずるのかなあと思ったら、なんだかあっさりと公認の仲に。お父さん! そんな簡単に娘をやっても良かったんですか!?

……とまぁ、それはそれとして、鷹子さんと手鞠の関係も端から見ていて微笑ましいし、過保護すぎる鷹子さんの暴走っぷりには笑わせてもらえたりと、楽しいお方ですね、鷹子さん。良い青山ゆかりです。相変わらず、PULLTOP のサブキャラの魅力は異常。

胡桃沢 鈴姫

いやいや、恋愛方面のお話としては4キャラ中一番楽しませてもらった娘ですね。暴走眉毛。可愛いですよ、すごく。

隠れ幼なじみ属性を持ちつつも、勘違いで舞い上がって浮き沈みの激しい難儀な性格。

真面目なお付き合いをしようと思いつつも、自分の本心を隠しきれずに……な展開とかにやにやしっぱなしですわ。というか、そこに直れ慎一郎、私も殴らせろ(笑)

ホント、このバカップルぷりはなんというか、ごちそうさま。周りではやし立てる連中も、本当に祝福してる感じがして、フルボッコにする様子さえ、微笑ましいんですよねえ。

シリアス分多めな感じだけど、別にヘヴィな方向に落ち込まずに気持ち良く解決してくれてるあたりも、この作品らしいなあと。

蓮見 一乃

余裕があるように見せつつ、実は結構いっぱいいっぱいな生徒会長さん。

副会長の芹菜さんとのコンビはスゴく好き。百合百合ぃ~なお話も、私は一向に構いませんよ?

恋に流され、手探りで関係を模索しつつ、なんだかお互いお互いに溺れてしまうバカップルさはこのルートでも健在。ってか、せめて人払いくらいしましょうよ。なんか、結構過激なプレイ(笑)があったような。いろいろ興味津々なお年頃ですか。てか、ああいうぇちぃビデオを気まずく見たりするシチュエーション、なんか好きだ(笑)

過去話は結構重かったなあ。ただ、そのどん底からの復活は、非常に一乃らしいというか、空元気も元気を最後まで貫き通して、誰からも慕われる生徒会長として君臨するに至った彼女の強さも、また本物だと。

壁の落書きを塗り替えるときの、彼女の心境を思うと嬉しくなりますね。

織原 夏海

正ヒロイン? 真ヒロイン? グランドフィナーレで明かされることとか考えると、まぁ、彼女のルートの先にあのエンディングがあるということなんでしょうね。

脳天気で男女の関係なんて意識させないような娘ですが、ちょっとした事件でお互いを意識するようになって……。

それ自体も、この手のゲームで描かれる事件としてはそれほど大きなものではないけれど、それ以降の反応の変化とかに、またにやにや。

あとはサニーサイドの面々が善いひと過ぎて素晴らしい。店長もちーさんも空気読めるわ、ここぞというところで力になってくれるわ、なんなんだこの素晴らしい職場は!?

ああ、でも、ラストのイベントとかは結構じんと来たなあ。絵的に綺麗だし、みんなの祝福ぶりが素晴らしすぎてもう……。大団円ですわ。

で、そこから続くグランドフィナーレも良い感じ。突然スゴい話が出てきたけど、それはそれとして、みんな繋がってっていう展開は良いねえ。主題歌合唱のムービーとか、お約束過ぎるけど、それが自然に受け入れられるんだもんな。良いラストでした。

夏はまだまだ終わらない

PULLTOP 作品の描く世界観に魅せられている人間としては、今回も期待を裏切らない作品でした。

終始お祭りの中にいるような賑やかさ、楽しい面々と繰り広げられるドタバタ、そしてやっぱり優しいひとたち、と生温いけれど、だからこそ居心地が良い世界なんですよね。みんなで頑張って、報われて、幸せになって、その幸せが、またみんなを楽しくさせていく好循環。自分が主人公じゃなくたって、この世界の中にいられたらきっと楽しいんだろうな、とか思える作品はなかなかないですし。

だからこそ、終わってしまうのが惜しい作品でもありました。作中で慎一郎たちが目指して作り上げたお祭りの楽しさ、それこそが、本作を遊んでいて感じられる楽しさなのかもしれませんね。感動とか、泣けるとかそういった方向ではない、ただただ眩しい方向を目指して疾走するような楽しさの固まり、それが『てとてトライオン!』という作品なんだと思います。

いやー、ホントに楽しかった。