ばけらの!

2008年9月26日

stars ばかだから、小説家になったんだ。他に、なんにもできないから。

とあるラノベレーベルからデビューした新人作家・杉井ヒカルの周囲の作家陣は美少女揃い。同期も先輩も余すところなく(一部例外あり)! けれど残念なことに、そんな彼女たちは人間ではなかったのです!! これは、「実在の作家さんとは一切関係ありません」なんて言い逃れをしたいけれど、しっかりはっきりモデルいるよね、な愉快な面々の織りなす日常という名の物語。

[tegaki]イヅナかわいいよ、イヅナ!![/tegaki]

いけぬこ研究会」の面々をモデルにしたという杉井光の新作はメタメタでやたらと楽しい自堕落な作家生活を赤裸々に描いた意欲作!(えー

まぁ、結局は工場長イヅナの可愛さが成分の大部分を占めているような気がしないでもないですが、その他の面々も個性的で、良い感じにデフォルメされて描かれていますねー。性別が反転してるキャラが多いけど、なんか性格はそのまんまなんじゃあと思えてしまいそうな生々しさも感じられたり。もう、どこまでがフィクションでどこまでが実話なのか、誰か教えてぷりーづ!

似たような作品に、川上稔の『遭えば編する奴ら』がありましたが、あちらが燃え ((あとはどうしようもなく変態揃いになってましたね。有沢まみずの両作品でのキャラの違いがすさまじいことに(笑) ))に傾いていたとすれば、こちらは萌えに特化してる感じ。まさか、ラノベ作家に萌える日が来ようとは。ダメだ! もう、支倉凍砂と杉井光はイヅナとヒカルで脳内キャスティングが完了してしまった!!

キャラの元ネタとかは ネタ満載な「ばけらの!」元ネタ解説一覧 を見るとして、物語的にもなかなか良い感じに仕上がっているのではないでしょうか。新人作家のヒカルが、同期のイヅナとじゃれ合いながらお気楽作家ライフを満喫する中で、ふたりを襲うしめきりという名の悪魔。他の作家たちの誘惑に負けず、作品を仕上げることができるか!? なんて緊張感はなくて、けれど終盤の展開にはお約束を感じながらも、その温かさにじんとしたり。作家としての物語を書くことへの思い、みたいなものが感じられたりすると、もう、琴線揺さぶられまくりなのですよ。

エピローグにあたる「あとがき」の章が時系列的に意味深な感じがしますが、そんなの華麗にすっ飛ばして、これからも続いていくヒカルとイヅナのらぶらぶ同棲生活に思いを馳せるのもまた一興でしょう(笑) てか、もう、深く考えずに、この世界をまるまる楽しんじゃえば、勝ちなんじゃないですか?

杉井光の作品はやっぱり大好きだ。みんなにおすすめ。最近のはね。気になったら『火目』もよろしく!

hReview by ゆーいち , 2008/09/19

ばけらの!

ばけらの! (GA文庫 す 2-1)
杉井 光
ソフトバンククリエイティブ 2008-09-16