ウェスタディアの双星〈3〉世を忍ぶ将軍漫遊記の章

2008年9月26日

stars 前に、わたしが言ったこと覚えてる? バドエル閣下は、わたしの憧れの人だって。

ルフェールの庇護を得、ひとまずの平穏を取り戻したウェスタディア王国。疲弊した軍の立て直しのため、演習に明け暮れるバドエルとアルファーニは、その最中、宇宙海賊により部下の艦を失う。海賊を追い、訪れた星系・ラタントこそ、海賊の根城であると考えたバドエルたちは、星系を治めるブロンジーノ家に協力を求め、海賊退治をしようとするが……。

番外編的な世直し物語。知謀知略を戦わせる艦隊戦より、こういった水戸黄門的なお話の方が、和めて好きだけれど、それはちょっと本筋から離れてるんだろうなあ。

自分たちの身分を偽って、海賊に苦しめられるラタント星系の軍に協力することになるバドエルたち。それまでのブロンジーノ家のボンボンのいけ好かない態度も、その後の気持ち良いくらいの大勝っぷりのための溜めだと思えば気にもならず、むしろそこで鬱憤が溜まった分だけ、討ち取ったときのカタルシスが得られているんでしょうけれど。

そして、この作品は女性陣が良い味を出してますね。双星たちを圧倒するバイタリティが素敵。お嬢ことローゼしかり、今回登場したルチーナしかり、思いっきり尻に敷くタイプな感じががが。彼女たちの頑張りもまた見所ではありますが、そんな強い彼女たちに押されてたじたじになるバドエルやアルファーニを見るのもまた楽しかったり。ラブ方面に進むことはないとは思いますが、息抜き程度に所々そういういちゃつくシーンがあったりするのは良いものです。

hReview by ゆーいち , 2008/09/24

ウェスタディアの双星 (3)

ウェスタディアの双星 (3) (電撃文庫 (1654))
小河 正岳
アスキー・メディアワークス 2008-09-10