ご愁傷さま二ノ宮くん〈10〉

2008年10月9日

stars おかえりなさい二ノ宮くん。そしてありがとう。こうしてわたしたちがここにいられるのも、みんなあなたのおかげです。

ヒルダの手にある“神精”・真由を賭け、十氏族の実力者による争奪ゲームの開催が宣言された。失われた10年前の記憶を取り戻すため、そして決して失うわけにはいかない真由を取り戻すために、峻護は駆ける。峻護の、真由の、麗華の、三人の物語に決着を付けるために、そして新しい物語を始めるために。

ということで、本編完結。遠回りした割りには、本当に落ち着くべきところに落ち着いたという感じですね。むしろ、後半の数巻は風呂敷を広げすぎたせいで、ラストの収拾具合が大変なことになっているような。

序盤で語られていた前提が覆る覆る。そりゃ、誰も真実を知らなかったからそういう展開もアリと言えばアリですが、しかし、10巻に渡って繰り広げられてきた峻護と真由と麗華の関係が、この巻で思いっきり帰られてしまった感じがして、どうにも唐突さがぬぐえません。

勘ぐってしまえば、アニメ化とかで引き延ばす必要があったのかも知れないけれど、やっぱり修学旅行の辺りからちょっと路線が怪しい感じになっていたような気がしてなりません。話の規模が大きくなったのに、突き詰めていくと結局は三人のお話だったわけで。

まぁ、話のまとめ方としては嫌いじゃないです。このエピローグだけ見れば、ハッピーエンドの大団円。ただ、ここに至るまでの紆余曲折の意味がないというか、まさに骨折り損のくたびれもうけ、ご愁傷さま二ノ宮くん。

ラブコメ路線で突き進んでくれればもっと楽しめたのかな。短編集は早々に切ってるんだけど、そっちの成分を補給したくなったら手を出してみよう。

hReview by ゆーいち , 2008/09/27