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ダブルブリッド〈5〉

stars 僕はね、優樹。君に色々と考えてほしいと思う。君は、君自身と君の友人たちをもう少し知るべきだ。

京都で怪が殺害される事件が起きた。優樹は浦木の依頼により、その事件の犯人を見つけるために、かつての同僚・帆村夏純と共に京都へ赴く。一方、第六課への出向が開け、EATでの生活に戻った太一朗は、意気消沈した様を先輩に叱咤され、気分転換に実家への里帰りを決意する。離ればなれになった優樹と太一朗、ふたりがそれぞれ辿り着いた土地で出会うひとびとは、彼らに人間の愛情の優しさと、裏に隠れる醜さを教えるのか。

愛が痛い!?

さぁ、いよいよ優樹の身に起きる異変が後戻りできない状況になりつつあるようですよ? この巻では、六課の中での最年少の怪・夏純が登場し、彼女のポジティブさに救われた部分もあるのですが、またしても事件の真相が明らかになると痛い痛い。こと、ここにいたって、優樹も人間の愛情が、ときに転じてその向けられる相手を害することもあるくらい、激しく、移ろいやすく、狂おしいものであることを理解できたように思います。

一方の太一朗は、抜け殻状態ですね。かつての恋人との会話を見ても、恋や愛に臆病になったというよりも、むしろ過激に、自分の思いを盲信しているかのような危うさを感じてしまいます。もはや、太一朗が優樹に抱いているそれが、恋愛感情なのか、はたまたそれとは種を異にするものなのか、彼自身にも判然としなくなっているような……?

ひとが怪を討つために手に入れた力・鬼斬りというものが、今回物語の舞台に登場しました。それを手にしたものは力を得、その代償として何もかもを失うことになる。そこに関わっているのは、今や何もしない死体のごとき空木であり、彼が過去に行ったことこそが、“主”を執着させ、また大田が彼を嫌悪する原因であることが窺われます。

ひとが怪を殺し、怪がひとを殺す。これまでも繰り返されてきたその行為から、関わらないようにしてきた優樹も、すでに目を逸らすことなどできない状況に。彼女の左目が、それを直視しまいと目を逸らし、瞑ったとしても、右の目は彼女の意志とはお構いなしに、戦いを、血を求め彼女を縛る。その先に救いがあるのかどうかなんても、もう分からないですね。

夏純が太一朗の優樹を見る視線を「嫌」と評したそれは、怪にとっての愛情が毒にしかならな、そんなことを暗示しているようで、また何ともいえない気持ちになってしまいます。

hReview by ゆーいち , 2008/11/23

ダブルブリッド〈5〉
ダブルブリッド〈5〉 (電撃文庫)
中村 恵里加
メディアワークス 2001-02
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