SH@PPLE〈4〉

stars 良いものを見て良いと言えなくなってしまったら、それは私の心の終わりです。勝利も意味もなくなります。

人力リバーフェスタに向けて特訓中の空船五中生徒会 & SEC + 清美女学院ソロリティ。話の流れ的に、青美の生徒会と部活連合と対決することになってしまったけれど、猛特訓のおかげか、なんとか少しは勝負になりそうな感じ。けれど、雪国には、彼の正体を知り、脅しのような形でその事実を突きつけてくる「X 氏」の存在が気になって気になって……。

[tegaki]恋ごころ百花繚乱![/tegaki]

雪国サイドも舞姫サイドも、今回のエピソードで一気に人間関係が混沌としてきているような。舞姫サイドは、今まで SEC の兄貴分として活躍してきた舞姫に対して、会長とかが真剣に向かい合おうとしてみたりして、こちらの方でも想い想われややこしい事態になってきてますね。まぁ、当の舞姫自身が、自分が SEC に居ることによって感じる心地好さの正体と、SEC メンバーたちが彼女に対して向ける気持ちのギャップに気付こうともしていないので、逆にどちらかが一歩を踏み出したときに、この関係がどんな風に転がっていくのか、気になるところであります。

そして、人力リバーフェスタに向かって活動してきた五中と青美の皆の背後で、雪国の正体をばらそうと脅しをかけてきた X 氏の正体は結構意外。いや、ちゃんと伏線張ってたし、でもなぁ、とか思っていたらそのものずばりで来るんだもんなあ。プロローグとエピローグの構成も巧くて、だからこそ、「彼女」の「彼女」に対する情の深さと、存在の大きさが感じられたわけでもあります。そんな彼女の、今回の騒動の収拾のさせ方は、とてもらしい感じではありますが、ここでも今まで築いてきた関係から、一歩踏み出してきた、その事実が今後の展開の布石になったりするんでしょうかね。誰もが同じ立ち位置のままで、気持ちの好いままではいられない、そんな象徴に思えたりします。

さて、一方の雪国サイドでは、鳥子さんの猛攻勢がとても素晴らしい感じ。だからこそ、逆に、その想いから目を背けようとする雪国のずるさい、あるいは一駿河さんへの一途さが残酷に見えたりします。雪国祖母の応援を受けつつ、今回望んだ一大イベントも、そんな鳥子さんの本懐を遂げる以前に青美内部の思惑のぶつかり合いに巻き込まれてめちゃくちゃにされてみたり、なんだか散々な結果になってしまいましたが、最後の最後で距離を縮められたのかなあ? 一方の一駿河さんとの関係は、微妙にぎくしゃくしてきてますが、彼女の反応が雪国に対する拒絶から来るものなのか、あるいは……というのも、また今後の大きな見所でありますね。

もっとも、秘密の入れ替わり学校生活が今後も延々と続いていくとすると、それは雪国が重ねる嘘がどんどん積み上がっていくことでもあるわけで、そういった意味では何重にもややこしい状況にがんじがらめになりつつあるのかも。彼の周りを囲んでいる、一方通行な想いの向かう先に、誰が居るのか、その答えが出るには、まだまだ時間がかかりそうですね。

hReview by ゆーいち , 2008/12/30