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付喪堂骨董店〈4〉―“不思議”取り扱います

stars 人は矛盾を抱える者。でもあなたのそれは人より少し強いみたいね。それはあなたの望みを叶えるもの。けれどあなたの望みを叶えないものでもあるわ。

不思議な力が宿ったアンティーク。それは使う者によってその身を助けも、破滅もさせる道具。ある者は自分の影の薄さに悩み、消えてしまいたいとまで望み、ある者は答えの存在しない人間の心に、正解を求め、そして、ある者は愛しい少女の笑顔のためにキューピッド役を自らに課した。そんな望みに導かれ、手の中に収まったアンティーク。その力によってもたらされる結末は……。

あー、上手くしてやられた。気持ちよく騙されてしまいました。

影が薄い、そんな言葉をそのまま体現するアンティークと、その対極にあるアンティーク。それぞれを手にしたのは……。

いや、なんか、こういう話は切なくなりますね。自分にとって大切にしたいひとを、自分だけのものにしたかったから取ってしまった行動が、手遅れになる直前に挽回しようとしても遅すぎて。けれど、当人にとってみれば、その結末に後悔など抱かないで済んだ、それだけが救いだったのかも。

ああ、でも、もうちょっと自分の周りを穏やかに見渡すことができたのなら、アンティークに頼って自分の望みを叶えようなんて、そんな方向に向かわなかったのかなあ。むしろ、これは残された者にとって、苦みを残したお話だったのかもしれません。

ギャンブル

いやぁ、この手に汗握る展開。やはりギャンブルは燃える。まぁ、そこの描写が卓越してるというほどではないのかもしれませんが、やはり、賭け品が咲となると、負けられないのが刻也というもの。

なし崩し的にポーカー勝負をすることになった刻也と、アンティーク・心声によって心を読むことで無敗を誇る相手。そこに気付くまでの手のひらで踊らされるような弄ばれ方と、逆転の策を思いついてからのたたみかけるような攻め方が、刻也の性格を見事に現しているというか。

自分の死を予見する自らのアンティーク・ヴィジョンの使い方といい、この逆境でこそ輝きを増す主人公属性め!

なんか、勝負のさなかかっこつけて言った台詞、どう聞いても告白にしか聞こえないんですが、ああ、もう、その言葉を聞いたときに、咲がどう思ったか、それこそ心声で教えてほしいものですな!

小指

いやぁ、こういう黒い話好きですよ。

相手の幸せを願い、相手のために行動しているのは、その実自分が幸せになりたいから。それが報われないと知ったときに、彼が取った行動は……。

彼女が自分のものにならないなら、誰のものにもならないでほしい、そんな呪いのような願いを向けられてしまった彼女は、それに気付かずに今後も報われない恋に焦がれていくのか。そして、誰にも知られることもなく、彼女を不幸にしてしまった彼は、彼女にどうやって報いていくのか。4話を見る限り、完全に終わってしまっている訳ではないようですが、このラストはなんというか、愛憎の感情の紙一重さをいやというほど思い知らされますね。

秘密

キタキタキター!

やはりこのシリーズは、締めのエピソードに咲視点のものを持ってくるからたまらない! もはや咲のデレっぷりだけで1冊作っても文句言わないですよ、それくらいも悶え具合でございます。

赤糸を手にしてしまった咲は、その力を使えば自分の運命が誰に繋がっているかを知ることができる、けれど、それを知るのは怖くて、そしてそれが刻也でなかったらどうしよう、なんて臆病さまで見せてくれちゃって。

そんな咲の胸の内など知らない刻也の、指輪を気にした行動もまた空回りしていてなんとも微笑ましい。

4巻のお話は運命だったり、人の心だったり、見えない人間観の繋がりにまつわるお話で構成されていたような感じですが、もう、咲と刻也のふたりに関しては、心だけでなく運命だってこれでもかと固結びされてるじゃん!! と絶叫したくなるくらいの相思相愛っぷり。ねぇ、なんでお前ら付き合ってないのよ?

この恋人未満なのに、恋人以上に繋がっているふたりの甘甘な関係、やっぱり見ていてにやにやしてしまって困るのですよ。

hReview by ゆーいち , 2009/01/11

付喪堂骨董店〈4〉―“不思議”取り扱います
付喪堂骨董店〈4〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)
御堂 彰彦
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