側にいたくて

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住宅洋平さんからご寄稿いただいた Kanon SSです。

側にいたくて

 幼い頃、よく遊んでたね。
 色褪せた記憶だ。
 短い間だったけど。
 鬼ごっこ。
 かくれんぼ。
 出会いが突然なら、別れも突然。
 私は何もできずに。
 泣き続け。
 泣き続け。
 でも、今はそんなことも忘れて。
 毎日、あなたのことを。 いつも想ってる。

   側にいたくて
「私の想い」

 今日は珍しく、祐一が風邪で寝込んでいた。
 珍しく、私が看病していた。
 事の発端は数時間前。

『…もしもし、水瀬です…』
『祐一…。大丈夫…?』
『あぁ、舞か…。風邪引いたみたいだ…』
『…誰もいないの…?』
『名雪は友達と遊びに行ってる…。秋子さんは仕事だ…』
『な、なら私が…』
『舞にうつったら悪いし…』
『…私は…。祐一に元気になってほしいから…』
『…看病、頼めるか…?』
『すぐ行くから… 』

 回想終わり。

 時計はお昼を指していた。
「お昼ご飯…。作らなきゃ…」
 私がそう呟くと、
「自分で作るよ…。舞に迷惑かけてるからな…」
 そう言った後、祐一は咳き込んだ。
「祐一…。具合が悪くなってる…」
「そんなこと…無いぞ…」
 私は、祐一の額に手を当ててみる。
「祐一…。熱い…」
 明らかに熱かった。
「悪い…。頼んでもいいか…?…舞の料理も食べてみたいしな…」
 すぐに私の顔が赤くなった。
 ある程度は料理はできるが、人に食べてもらった事がなかった。
 もちろん、自分の好きな人にも。
 手早く、それでもどこかぎこちなく、お昼ご飯を作った。
「1人で食べられる…?」
「ちょっと待ってくれ…。……ごめん、体が…」
「なら…。私が…」
 そう言って、私は祐一の口に料理を運ぶ。
 ただし、2人とも恥ずかしそうだった。

 お昼ご飯を食べ終えて、
「結構うまかったぞ…」
 祐一の感想を聞いてから、私は看病に戻った。
 美味しいって言ってもらえて、少し嬉しかった。
「もう…大丈夫だ…」
 熱は下がっていたが、まだ熱い。
「まだ、よくなってない…」
「…舞にうつったら悪いし」
 残念ながら、既に手遅れだった。
「私は、祐一の側にいたいから…」
「悪い…」
「ねぇ、祐一。寒くない?」
「ん…。ちょっと寒いかな…」
 答えを聞くと私は。
「な、ななな何やってんだ、ま、舞?」
 祐一のベッドに潜り込んでいた。
「これなら寒くないと思う」
 そう言って祐一に抱きついた。
「ちょ、ちょっと舞、性格変わってないか?」
「性格は変わったかもしれない。でも、私の気持ちは変わってない」
「ま、舞…」
「風邪、治ってる」
「あ…。本当だ…」
 祐一が元気になったことを確認すると、体から力が抜けていった。
「あれ?舞?」
「私の看病、してもらっていい?」
「えぇと、濡れタオル取ってきたいんだが…」
 私は、祐一を放さなかった。
「側にいてくれるだけでいいから」
「そ、そうか…」
 下から、聞き覚えのある声がした。
 2人とも帰って来た。
「なぁ、こんなとこ見られたらまずくないか?」
 私が答える前に、秋子さんが入ってきた。
「あら、川澄さん来ていたんですね。…あら?」
 どうやら、私が祐一を誘惑しているように見えたらしく、
「お邪魔してしまったみたいですね。ごゆっくり」 そう言って部屋から出た。
「舞は看病してくれてたんだよな?信じていいんだよな?」
 すぐに、名雪さんが入ってきた。
「あ、川澄さん来てたんだね。…祐一、川澄さんと何やってるの?」
 祐一が答えられそうになかったから、私が答える。
「ちょっとだけ、いいこと」
 名雪さんの顔が真っ赤になった。
「ゆ、ゆーいち~。私というものがありながら!!」
 その勢いで、名雪さんは部屋から出た。
「祐一の看病してただけなのに」
「言い方が悪いぞ。だから、誤解されるんだ」
 もちろん、私は祐一にくっついたまま。
「祐一となら、もっといいことしてもいい」
 戸惑う祐一に、軽くキスをした。
 それは、何かの合図のように。

 次の日からずっと、私は祐一にくっついていた。

 『祐一、大好き』

おしまい

あとがき

どうもこんにちは。

 今回は舞をメインにしてみました。

 最後にはキャラ崩壊したけど。

 看病ネタがやりたくて、勢いで書いてみました。

 最後のアレが何の合図かはお察しください。

 最初のアレはスルーしてやってください。

 全国の舞ファンのみなさん、大変失礼しました。

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