神のまにまに!―カグツチ様の神芝居

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stars なんせ俺は『語り部』だからな。物語を語り継ぐことしかできない。だが、約束する! 町の人たちに信仰心を取り戻させてやる!

突然人間たちの前に姿を現した神様たち。それから20年あまりの時間が経ち、信心薄い人間たちにないがしろにされることに疲れた神様たちは、突然雲隠れしてしまった。品部人永の頭に取り憑いている神様“ヘッポコ”様は、そんな中でも珍しく人界に留まった神様。神の寵愛を受ける人永に白羽の矢を立てた日本国政府は、彼を使って雲隠れした神様を見つけさせるべく、強引に政府機関の『やおよろず神議会』に所属させられてしまい……。

女性に目がないながらも、“ヘッポコ”様に取り憑かれているおかげで、まるで美味しい思いをすることがない人永。美人所長に釣られる形で神様捜索と説得を請け負う『やおよろず神議会』に所属することになった彼が、そのお仕事の道中を面白おかしく、あるいは怒りにまかせて語り部として綴る物語。

説得の対象となる神様の威厳のなさというか、人間くささというか、愛嬌を感じるような部分にほのぼのとさせられつつも、お話的にはドタバタ。宮仕えな人永の、美人所長・小町さんに上手いことあしらわれこき使われる様に哀愁を感じたり、道行く美人には声を掛けずにいられない軽さに苦笑したり、ヘッポコ様とのやりとりに和んでみたり。

神様と人間の共存という根っこの部分で、実際には不可分なくせに、人間側は自分達のことを優先して信仰心を失くしてみたり、神様はそれにうんざりしてストライキをしてみたりと、どっちもどっちな理由に板挟みになりつつ、口八丁な感じで乗り越えていく人永は、自分が望まなくても十分語り部の才覚在り? 冒頭の記述を見る限りは、なし崩し的にそんな役を押しつけられたまま馬車馬のように働かされているようで、可哀想なことこの上ないですが、本編中にあったカグツチさんとのいちゃいちゃみたいな美味しい目も少しは見ているような。

人間の女性にはもてないくせに、神様に妙に好かれてしまう難儀な質の彼。ヘッポコ様の正体が判明して、カグツチさんとの取り合いになったり、事件解決後の恋の鞘当て状態にはにやにやしてしまいますね。手を繋ぐ以上のステップを踏めなかったカグツチさん、なんだか本気でフラグが立ってるようですが、その純情さと上がりまくったハードルを越えて人永の心を射止めることができるのかな?

お話の筋的には、微妙にすっきりしない部分がありますね。そこは、国という後ろ盾がありながらも、それを生かすことができない立場の人永の苦肉の策による解決という決着の仕方が原因なのですが、ここで彼が活かした機転が未来にしこりを残してる可能性も十分にあるだけに手放しの大団円ではないような気がします。まぁ、そこも含めての語り部・人永、こんなノリでまだまだ隠れている神様を見つけるための東奔西走はこれからも続いていくんでしょうか。

hReview by ゆーいち , 2009/05/17

神のまにまに!―カグツチ様の神芝居

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山口 幸三郎
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