迷い猫オーバーラン!〈4〉みんな私が拾います

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stars 人助け、なんて不遜なことを思ってるんじゃないんだ。言葉はそうでしかなくても。こんな幸せな気持ちになれることがあるだろうか。誰かの幸せを、共に感じられること。それが、父さんと母さんが、そしてこの子が、わたしに教えてくれたことだった。

クリスマス目前。ストレイキャッツのケーキ作りに、教会のチャリティー企画にと迷い猫同好会は右へ左へ大忙し。そんな仕事をこなしながらも、巧へ想いを寄せる3人の少女たちはクリスマスプレゼントの選定に余念なし。けれど、そんな中、またも乙女が新たな迷い猫・クリスを拾ってくる。クリスは乙女に何やら厄介ごとを相談しているようだけれど、この忙しい時期にそんなことにかまっていられるのか、巧の不安は募るばかりで……。

今度は女装美少年か!

と、昨今のトレンドを取り入れつつ新キャラ投入に隙のないシリーズですが、根幹となる家族ものの軸は頑としてぶれることもなく、今回も聖夜のすてきな物語と相成っております。

ストレイキャッツのオーナーにして、人助け至上主義博愛主義をこれでもかと貫く、身内にとってはある意味迷惑なところもある乙女さん。今回は、彼女と彼女が拾ってきたクリスの、家族にまつわる物語を主軸に、もう一方で巧と文乃、希、千世の間にある均衡が崩れ始めた恋の物語も進行と、キャラの顔見せとそれぞれの問題の解決から、新しい関係へと移り始める予感を抱かせる流れになっていましたね。

乙女さんはこれまでの3巻までの物語だと、何やらスゴいけど肝心なときに職場放棄するはた迷惑なオーナーってイメージが強かったんですが、彼女がどうやってこの家で生きてきたのか、そして、どうして彼女がここまで人助けのために何もかもをなげうてるのか、そんな疑問が明かされたように思います。暖かな父と母からもらった愛情と、たくさんの優しさがあるからこその乙女さん。心の中で育んできた、まだ形のない何かを、巧との出会いを経て自らの芯として、そしてそれを裏切ることなく、自分の理想をひたすらに叶え続けてきた彼女の姿を知って、巧たちはどう思うのでしょうか。もちろん、現実的にはトラブルを運んでくるような爆弾的な存在であって、実際に山ほど迷惑かけられた身内からすれば、手放しで許せるようなことではないかもしれないけれど。けれど、彼女からもらった暖かさと居場所を、誰かに伝えるための優しさは、ストレイキャッツに集っている迷い猫たちには間違いなく受け継がれてるんでしょうね。

そんな乙女さんの境遇と対照的なクリスの親子関係。父親探しという本来の目的から逆算されてきた父母間の確執とか、すれ違いとか、これまた重い流れになりそうなものを、この物語に出てくる親たちってのは本当にすてきな親たちで。誤解も、長い時間という隔絶も、子どもという絆があればあっさりと飛び越えて和解できるなんて、優しすぎる気もするけれど、だからこその、この物語といった思いです。ああ、そうさ、こういう話がツボなんですよ、大好きなんですよ。

そして、今後のお話は、巧を巡る女の子たちの恋の物語へとシフトしていくのかな。無自覚な好意を確固たる恋ごころとした希の可愛さは今回も半端ないし、初恋にわたわたしてあれこれ頑張るお嬢さまな千世もまた完全なデレ期に突入した感じ。そして、誰よりも巧と一緒の時間を共有してきた文乃は、まだまだ素直になれないけれどお互いに自覚しあえない両想いな状態。この恋が実際に実るときは、残された誰かが涙を流すときなのは間違いないけれど、それを超えて、もっともっと強い家族という絆を育み続けことがきっとできるんじゃないかと、暖かな空気に満ちあふれるストレイキャッツと、そこに集う猫たちの今の幸せを見ていると思えるのですよね。

hReview by ゆーいち , 2009/06/14

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