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猫耳父さん

stars この状況でどんなリアクションをすればいいのかなんて、わかるわけがない。おれの中に、この状況にふさわしい引き出しなんて、ない。まぁ、とりあえず。悲鳴をあげることから、始めてみた。

下品な悲鳴を上げたのは日村家の家長、マンガ家である賢一郎。愛猫・ネーの死の翌日、なぜか彼の頭には猫耳が、そして尻には尻尾が生えてしまっていた。コスプレでも冗談でもなく、マジで萌えキャラ化してしまった親父38歳。このままでは人前に出ることもできない父のために、娘であるななこは奮闘することになるのだが……。

新ジャンル:猫耳中年親父

……いやぁ、これはないわあ。斬新を通り越してまさに奇々怪々。ってか一発ネタですよねえ。週刊アスキーで連載されていた小説をまとめたという形式のせいか、ボリューム的にはやや少なめ、短編の『未来の世界の犬型ロボット』も巻末に収録されてますが、こっちの方が好みだったかな。

愛猫の死を契機になぜか猫耳を装備してしまった親父・日村賢一郎(38)と娘・ななこの掛け合いを中心にコメディタッチでお話が進んでいくかと思ったら、終盤の超展開がスゴいなあ。

突然、ななこの交友関係に焦点が当たったかと思ったら、その友人である少女の家庭の事情がやたらとヘヴィで、その流れのままに予想だにしてなかった斜め上の真相が明らかに……って唐突すぎるわい! ななこの友人・どあの悲惨な家族構成だったりが妙に生々しく感じたりして、この辺の感性とかは作者ならではなのかなあと思いつつ、いきなり日村家を襲った不幸の真実へとリンクしたりと、これまた発表形態の都合上な感じがひしひしつ伝わる急ぎ足の展開。うむむ、ちょっと微妙でしょう。

あとはまぁカラー口絵とかでビジュアル化されてながら、なぜに猫耳幼女が作中でもっと活躍しないのか!? くそう、やっぱりこのお話は親父+猫耳という発想ありきで突き抜けてしまった物語だったわけですね。ペット喪失の痛みとか、別れへの過程とか、そういったしんみりさの描き方とかは良かったんですが、後半がどうにも、という感じでしたね。
『未来の世界の犬型ロボット』についても、本編同様不器用な父親と娘の離れてしまった距離が、ふたたび手を繋げられる距離まで縮まるまでの物語でしたね。きれいにまとまった後味の良い短編でした。やっぱり主人公の身の回りのいじめとかはなんだか生々しくてイヤンな感じでしたが。

hReview by ゆーいち , 2009/06/20

猫耳父さん
猫耳父さん (電撃文庫)
松原 真琴
アスキーメディアワークス 2009-06-10
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