らでぃかる☆ぷりんせす! さーど

2009年11月20日

stars ――さあ、柳楽君。この世の終わりがやってくるまで、私としっぽり愛し合いましょう。

らでぃかる☆ぷりんせす! さーど(書影大)

ついに己に秘められた力を知ってしまった異星の王女モニカ。力に振り回されずむしろ逆に柳楽を守ってみせるとまで豪語する彼女だったのだが……。一方そのころ、発明お嬢様アリサは「ライバル誓約書」なるものを作成、モニカにサインさせて勝負を挑む。しかし、どうやらその思惑には柳楽への甘酸っぱい感情も混ざっていて……?

自らの力をまだ満足に御することのできないモニカ。けれど、力に目覚めた、その嬉しさが空回りしてトラブルを振りまく第1話。人心掌握とか危険すぎますって! さらにそれが暴走して明後日の方向へみんなの感情が向かってしまったおかげで、またしても柳楽は命からがらの逃避行。途中でちょっと美味しいイベントとかもあったけれど、やっぱり割に合わない展開ですねえ。モニカの性格自体が少し反省してもその後テンション高まると、すぐに忘れてしまう難儀なものなので、彼女と一緒にいる限り、巻き込まれ具合はどうにもならないでしょうねえ。

そして続いてはギャグパートの王道イベントのひとつ闇鍋。まぁ、この題材自体、文字通りどう料理しても大変なことになるのは間違いないわけで、のっけからカオスと化す地獄の釜のような惨状にひとりまたひとりと倒れていく戦士たち。なぜひとは分かっていても危険な食材を放り込まずにはいられないのか? それはそこに鍋があるから……!

最後は海外バカンスどころか地球外バカンス。ついに地球上では物足りなくなったのか、宇宙へ飛び出す柳楽一行。もともと何でもありなキャラばかりでしたが、フリーダムさに拍車がかかる一方。そろそろ名も知らぬどこかの惑星の一つや二つトラブルで消し飛ばされそうですが……。それはそれとして(一方的な)ライバル関係だったモニカとアリサの和解とか起こるべきイベントは起こるべきタイミングで起きてるのかな? これで恋と友情のどちらを取るのかというフラグが立ったわけですが、言い寄られる側の柳楽の方がそんな感情をとんと抱いてないような雰囲気なので、この膠着状態はまだまだ続きそう。

そんな感じでひたすらドタバタが繰り広げられた第3巻、物語的には風呂敷が広がりきってるような状況なので、今後また新キャラが投下されるのか、あるいは当初の目的通りに柳楽を巡る宇宙人たちの思惑が火花を散らし合うようになるのか? もしかしたら一之瀬さんが日の目を見るときが訪れるかもしれませんね。……ああ、それはないか(笑)

hReview by ゆーいち , 2009/11/08

らでぃかる☆ぷりんせす!さーど

らでぃかる☆ぷりんせす!さーど (電撃文庫)
周防 ツカサ
アスキーメディアワークス 2009-08-10