シオンの血族 1 魔王ミコトと千の花嫁

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stars もう逢えないと思ってたとか、そんなことぜったいに言わないで。約束したんだから。きっと戻ってくるって、約束したんだから。破るつもりだったなんて言わないでよ。

AD2016、長く続く世界戦乱の渦中の、帝都東京。皇統を異形の敵から護る吸血鬼の家系“シオンの血族”が、そこで密かに息づいていた。その若き女当主、紫苑寺有葉のもとに、ある夜、ひとつの棺が運ばれる。かつて魔力の暴走を抑えるために封印された、有葉の弟、紫苑寺ミコト。封を解かれ、よみがえったその少年は―「敵はみんなぶっ殺して女はみんな僕のものにするッ」「ハーレムつくって、子供も一億人くらいつくって、地球上を紫苑寺の血族でいっぱいにするんだッ」―凶暴、好色、残忍、色々やりすぎな魔王へと育っていた!超絶テンションで展開する“真性”ハーレム伝奇アクション、開幕。

その身、その血に刻まれた名を思い出せ

杉井光の作品にしては珍しいパターンかな。主人公が普通に強い。というか最強クラスで傍若無人に思うがままに好き勝手絶頂に暴れるお話。物語の根幹部分は一迅社の前シリーズ『さくらファミリア!』と同じようなネタが使われていますが、方向性はかなり違ってるのかなあ。ただ、既視感ばりばりの1巻に思えてしまったので、新鮮味という部分ではかなり損をしているような。

続く世界大戦。劣勢に置かれる大日本帝国において、異形の敵から皇統を護る吸血鬼の血族、紫苑寺。戦いの中に身を置きながらも、生き別れた弟のことを片時も忘れなかった現当主・有葉と、弟であるミコトとの再会は彼女が思っていたような甘いものでも、穏やかなものでもなくて。思い出の中の弟と、再会した弟の性格がまるっきり違っていれば、そりゃがっかりもするものですな。そして、その性格の変わり様は、有葉にしてみれば度し難いものなのは想像に難くなく。女という女を自分のものにしてみせるとか、女の敵!な台詞を吐きつつセクハラ三昧、見えない場所では思いっきり一線を越えていたりと、何この主人公。うらやましい、いや、けしからん!

と、一歩間違えれば出すレーベル変わっちゃうんじゃね?というぎりぎりを攻めてきてますが、物語の展開は血みどろで大変なものですね。ここまでばたばた人死にが出るのは杉井作品では珍しいかな。MF文庫Jの『剣の女王と烙印の仔』もばたばたと脇役は死んでいきますが、それ以上にメイン以外の脇役の命が軽く軽く散っていってる感じで、あまりそこに重さを感じられないんですよね。凄惨な描写とかはされてるんだけれど、書いてみましたといった風にしか見えなくてそこから生まれる結果としての死が記号的に見えてしまうような。戦時下という状況だけに、そういう当たり前にある死という解釈のしようもありますが、なんだか出てくる男、出てくる男、あっさり退場していってるあたりが、この作品の方向性なんでしょうか。

そして、第1巻にして、すでにメディアミックス展開が確定しているだけに、1冊目がほとんどキャラクターの顔見せや世界観の解説に費やされているような印象はありますね。カラー口絵に登場してるのに本文に出てきてないキャラもいますし、本格的にお話が動き出す次巻以降への布石として見ておきますか。

まぁ、そんな感じで、エログロを割と本気で書いてる感じはしますが、まだまだ物足りない部分もあるかなあ。そういう方向で他シリーズと差別化を図るなら、もっともっと突き抜けてほしいかな。メディアミックス展開で、ゲーム化するんだったらそれこそ18禁でやるくらいじゃないとねー。イラストの色っぽい雰囲気に文章も負けないようにさらなる高みを見せてほしいのですよ。

hReview by ゆーいち , 2010/04/04

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