剣の女王と烙印の仔〈4〉

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stars おまえはわたしの臣下だ。おまえが刈り取る麦、おまえが屠る羊、おまえが掘り出す鉄、おまえが流す血、おまえがかき集める罪、その半分は女王であるわたしのものだ。おまえがそう言ったんだぞ。

プリンキノポリ奪回戦で勝利を収めた銀卵騎士団。戦勝祝典をひかえ、ミネルヴァはクリスを街へと連れ出した。いつもとは違う可愛らしい服に着替えたのに、気がつかないクリスにやきもき。まるでデートのような時間を過ごす二人はどこかぎこちない。そんな時間を楽しみ二人は仲間であるジルベルトを見かけ息をのむ。彼の胸で黒く光る薔薇の紋章は、敵対する聖王国軍の警察部隊「黒薔薇騎士団」のあかし。ショックを受け帰城した二人にフランチェスカはクリスの烙印の力を利用した危険で恐ろしい作戦を打ち明ける――! さまざまな想いと絆を描いた本格ファンタジー第4弾。

大きな戦いを切り抜け、着実にその評価を高めていく銀卵騎士団と、それを率いるフランチェスカ。一方の敵方の聖王国の方も、ミネルヴァやジル、そしてジュリオの剣技の師でもある、作中でも最強キャラっぽいカーラ先生やら、クリスの血縁にして次なる刻印の持ち主であるメルクリウスが、その存在感をこれでもかと見せつけます。

次なる大きな物語のうねりへと向けた助走的なエピソードがさまざまに語られているようで、中でも今回は、表紙を飾るフランチェスカの人物が掘り下げられていった巻でもあったように思います。前巻のプリンキノポリ奪回戦で見せた、勝利のためなら手段を選ばないという冷徹さと、それをただひとりで背負おうとする孤高さ、けれど、その重みを決して彼女は感じていないわけなどないという、人間としてのもろさ、弱さ。誰にも見せられない、見せようとしないそんな彼女自身を、彼女の駒のひとつでありながら、彼女の王でもあるミネルヴァがともに背負おうという、ふたりの間にある結びつきを強く感じさせる会話が印象的でしたね。ただひたすらに聖王国打倒のためにあらゆる手段を用いる非情の将としての彼女と、その使命の重みに耐える本来の彼女の姿が対照的に映りました。

冒頭で描かれたつかの間の休息で、戦いなど忘れたかのような、いちゃいちゃなクリスとミネルヴァの姿は微笑ましくもありますが、戦うことだけを考えていれば良いような兵力としてのふたりとは別の場所で、絡み合う策謀の数々に、単なる二勢力の対立だけでは片付かないような複雑さを思います。

一方、聖王国へと帰還し、自らの誇りに準じようとしたジュリオも、もはや二人の聖女が囚われた呪いの枠組みから逃れることのできない段階にまで踏み込んでしまいましたね。あるいは、彼が見た光景こそが、この世界を裏で支配する神という存在の呪縛の表れなのかも。クリスもそうだけれど、ジュリオの方も、だんだんと悲惨な目に遭うようになってきてるなあ……。

敵味方、あらかた役者は出そろったのかな。これまでの快進撃に陰を指す、カーラ先生の脅威がひしひしと迫る中、戦いは新たな局面を迎えそうですね。

hReview by ゆーいち , 2010/04/05

剣の女王と烙印の仔〈4〉

剣の女王と烙印の仔〈4〉 (MF文庫J)
杉井光
メディアファクトリー 2010-01
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