バカとテストと召喚獣〈10〉

2013年4月18日

stars いいかお前ら。俺たちは――Fクラスは最強だ。全員実力を示せ! 学年最高位……獲りに行くぞ!

ついにAクラスとの再戦を迎えた明久たちFクラス。
雪辱を果たすため、そしてA教室の大画面で秘蔵DVDを観るため(一部関係者談)気力充分な彼らだったが、前回苦戦を強いられたAクラスも今回は序盤から全力全開! 
試召戦争は午前中から早くもクライマックス状態に。
そんな中、突然三年生の首席がFクラスを訪れ謎の言葉を残していく……。
『美形は帰れ!』(動物園の皆さん)
果たして二年最強クラスの座はどちらの手に!?
風雲急を告げる第10巻!!

[tegaki color="red" font="dfgot_p.ttc"]行くぞ最後の決戦だ![/tegaki]

いよいよAクラスとの頂点を賭けた最後の試召戦争が開幕。第1巻で惜敗を喫したFクラスにとっては、リベンジの大事な一戦。

これまでのバトルに比べても、さすがに最強を誇るAクラス相手には真正面からぶつかるだけでは勝てるほど甘くないのは重々承知。手練手管の限りを尽くし、正道・詭道両面からぶつかり合う知略戦。両陣営のリーダーである雄二と翔子の互いの思考を読み合った展開は、今までとはひと味違いますよ?

その裏では姫路さんや美波の、明久に相談できない秘密ごとが進行していて。姫路さんの方は、やはり今まで問題にならなかったのがおかしくなかった、彼女が本来いるべき場所についてのあれやこれみたいですが、美波の方は、もうね、かわいいなあ、もうっ。自分の日記に明久のことをこれでもかと書くのはいいけれど、それを学校まで持ってくるってのはどうなんだ。内容の一部は本編でも読めたけど、ここ最近の内容なんて暴露された日には、本当に彼女、明久を道連れに旅立ってしまいそうですね(笑)

さらには、前巻辺りから登場のショタ担当のリンネや優秀ながら残念ぽい先輩・髙城先輩も一枚噛んでいる様子で、ただでさえ混迷の度を深めるバトルはさらにカオスな状況に……。

かつて敗れた戦いをなぞるようなシーンを挟みながら、けれど、Fクラスの面々はしっかりと成長しているんですよね。明久の点数がアップしているのが最たるものですが、クラスメイトたちも戦いに慣れて見事な連携(&自爆(笑))を見せてくれてます。単純な成績勝負ではなく、ここにきて今までの経験値が実力差を埋める糧になっている、これはギャグ作品ながらも熱いところは熱く見せてくれる本作の魅力でもありますよね。

特に終盤の互いの作戦の読み合いは熱い。Aクラス最強の翔子さんを倒すことができるカードを、以下にして切るか、その状況を作るためにあらゆる予想を裏切って見せた雄二の知略はかつての才能のきらめきを思わせます。今までなかなか活躍の機会のなかった秀吉も、そのスキルを発揮。いやいや、こうくるとはなあと唸らされました。

が、戦いの結末は納得いかないなあ。どう考えてもこのタイミングを見計らっての物言いなだけに、介入してきたババア長の空気の読めなさはかつてない苛立ちをもたらしてくれますね。ここまで悪感情を呼び起こさせるキャラがこの作中出てくることに驚きですが、あえてこういう展開にしたとしても、個人的にはもやもやが残ってしまいますね。

これは、水を差してくるキャラたちの言動が気にくわないとかもあるんですが、ここであえて決着を引き延ばすことにどんな意味があるのか。クライマックスとなる次巻で膝を打つような納得の答えを見せてほしいです。

……というか、あと1巻で終わるの? 上下巻展開とか普通にありそう。

hReview by ゆーいち , 2012/01/17

バカとテストと召喚獣10

バカとテストと召喚獣10 (ファミ通文庫)
井上 堅二 葉賀 ユイ
エンターブレイン 2011-12-26