煉獄姫 四幕

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stars 始めましょうか、アルト、そして兄さん。この前約束したわよね? 今がその時よ。私たちに相応しい、とっておきの地獄へと一緒に堕ちていきましょう!

正統丁字教の総本山である法王庁の特務組織【奇跡認定局】が、ついに瑩国転覆のため動きだした。実行部隊【使徒】と人造人間キリエによって、議員や貴族たちを標的とした無差別暗殺計画が進められていく。瑩国は抗う術なく、徐々に国力を削られ始めた。
更にはこの混乱に乗じ、ユヴィオールたちもまた違った思惑のもとに水面下で暗躍する。イオ=テリーヌの前に姿を現したアイリス=キャリエルの笑みは、同郷の輩に再会した喜びか、或いは【魔剣の母】としての狂気なのか。
そして混乱していく状況の中、フォグとアルトは――。
薄闇の幻想物語、緊迫の第四幕!

そして地獄が顕現する

相も変わらず容赦のない展開が続く第四巻。国内でのテロ活動によって政治力の治安の低下しつつある瑩国はゆっくりと泥沼に沈んでいくかのよう。もう止めて! 瑩国のライフはゼロよ!

前巻での手痛い敗北から、自ら強くなりたいと願うようになり始めたアルトの変化に瞠目。作中でイオが感じたように、小動物的な愛らしさを見せていた少女は、けれど、自分の生きている意味となすべきことを次第に理解し始めているようですね。それはフォグという唯一無二のひとが共に在るからで、だからこそ、ふたりは一緒に強くなっていきたいという同じ結論にたどり着いたのでしょう。この、ふたりのパワーアップフラグは良いですね。今までは苦戦続きだったので、ここらで逆転の目を見せてくれないと胃がきりきりするだけでしたから。

逆に、イオさんが死亡フラグ立てまくりで戦々恐々でしたね。作者が作者なだけに、敵味方の重要そうな人物でも必要とあらばあっさりと退場とか十分あり得ましたから。なんとか、今回は生き残ってくれてほっとしましたよ。まぁ、まだまだ余談の許さない展開になってきてるんで、今後はそれこそ二桁、三桁単位で死傷者が出てもおかしくない混沌が広がりつつありますが。ああ、それ以前に、失踪事件で十分大変なことになっていたか……。

そんな感じで、瑩国を狙う勢力とキリエの背後にある法王庁の存在が明るみに出てきましたね。国家レベルのやりとりは、個人の意志が介在する余地はほとんどないから、政治という舞台での戦いは、フォグの理解者でもある王弟・リチャードの出番になるのでしょうけれど、彼もまた良くできた為政者であるがゆえに、自分の命を掛け金にしてまでも危険なやりとりに踏み込んでいきそうで、身を案じてしまいます。せっかく、今巻でアルトとの距離が少しだけ縮まったというのに、彼の贖罪をもう少しだけ続けさせてあげてください。

相変わらず好き勝手を続けるユヴィオール一味の所行はとどまるところを知りませんね。人倫から外れた行為に疑問を抱くことなく娯楽のように続けるその精神性こそが異常の極みでしょう。さらりと味方も簡単に騙すユヴィオールの行動は切り札ともいえる道具を手に入れたことでいよいよ暴走を始めそうですね。そして、彼もまた、フォグたちと同じように人外であることがほぼ確定? 運命から逃れるために身を寄せている国を混沌に導こうとする、その選択こそが、創造主から与えられた使命にイコールに思えてしまうのは気のせいでしょうか。

でも、やはり、今巻の見所というか戦慄させられるのは、変わり果てた、あるいは、生まれ変わったトリエラの姿でしょうね。倫理という束縛から解放された研究者の狂気の産物をご覧あれ。数多の人命を吸い尽くした犠牲の果てに産声を上げた怪物をご覧あれ。彼女が彼(?)にその名を付けたことこそが、彼女の狂気の集大成のようにも思えて吐き気さえ覚えます。果たしてフォグは、友人をその手にかけることができるのか? 彼の選択と戦いは次巻までのおあずけですね。この狂気の果てに救いはあるのやら……?

うーん、ここにきてキリエがすごく魅力的に描かれてますね。もちろん、敵方に立つため、彼女の行動そのものが是とされることはないのでしょうけれど、アルトとの賭け事を邪魔されたことへの怒りや、その戦いに対する誇りは、壊れた人間揃いの登場人物たちの中において、むしろ人間的に映りますね。キリエに対して与えられた運命が、彼女をどんな地へと導くのかもぜひ見届けたいところです。

hReview by ゆーいち , 2012/01/20

煉獄姫 四幕

煉獄姫〈4幕〉 (電撃文庫)
藤原 祐 kaya8
アスキーメディアワークス 2011-11-10

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