魔法科高校の劣等生〈6〉横浜騒乱編〈上〉

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stars 魔法など無くても、人はいくらでも奇跡を起こせるものですよ。

秋。
『全国高校生魔法学論文コンペティション』の季節がやってきた。日頃の研究成果を魔法装置を使った『実演』でプレゼンテーションするこの催し物は、九校戦で成績が振るわなかった学校の雪辱戦とも言える。魔法学、魔法技能、先端魔法技術を披露する最高の舞台だった。
『劣等生』司波達也は、第一高校の代表・鈴音のサポートメンバーとして参加、その魔法技能を如何なく発揮していた。
時を同じくして、暗躍する組織の影があった。諜報員、同じ魔法科高校の生徒、『大陸』から来た暗殺者……。
達也の類い希なる頭脳と能力と、その『成果』を狙い、コンペティションは陰謀に巻き込まれる――。
華麗なる司波兄妹の活躍に、刮目せよ。

「文」の対抗戦、始まる

九校同士はほんとうに実力比べが好きですね! そうすることで、切磋琢磨が生じて、お互いのレベル向上につながっているんでしょうけれど、一校のレベルが頭抜けている感じがして他校の苦労とかそういう部分も見せてほしいような。三校の面々がやや拮抗しているかなという程度だし。これじゃあ一校以外の魔法科高校の学生たちが劣等生扱いされてもおかしくないですねえ。

そして、こういう大きなイベントが催されるときはその裏で暗躍する勢力が登場するのも必定といったところ。前回の九校戦でマフィアの脅威にさらされたかと思ったら、今回は大陸の軍隊がお出ましですか。エリート揃いとはいえ高校生たちを制圧するのに過剰過ぎはしませんか? なんていう疑問は、魔法師という存在の超越の程を知るほどに消えていってしまうわけで。

戦争の道具の域を出ない魔法師が、この世界においてどれだけ脅威かというのがイヤというほど分かりますね。だからこそ、一般人との間に軋轢が生まれて少数勢であるがゆえに、弱い立場に甘んじている。現代社会でも似たような格差があるのは確かですが、その出自が人殺しの道具であるという魔法師の存在は、手にした力の大きさとは反比例するかのように弱い立場に甘んじているのですね。だからこそ、達也のような存在が、魔法師たちの地位を、能力を、平和のために世界のために活かす技術と結びつけることで、社会から必要とされるように変革したいという気持ちは理解できます。でも、彼の冷めた考え方とか、境遇、態度を見ていると、その目的さえもが、まだ明かされていない彼の本心を覆い隠すための嘘ではないけれど建前でしかないのではないかという寂しさのようなものも感じます。たった一人の妹へと向ける愛情は確かなものなのに、他者への、友人たちでさえもどこか一線を引いて接している態度は、彼自身の口から語られた言葉さえ本音であるという核心が持てなかったりします。特異すぎる存在である司波達也の真実はまだまだ明かされ切っていないんですよね。

ああ、しかし、前哨戦である上巻で、本当の戦いはこれからであるはずなのに、危機感がほとんど感じられないのは善し悪しですね。達也と深雪はチート過ぎるとしても、他の一校生の戦いですらも、危なげがないというか世界屈指の強者に相対したとしても互角以上に戦うことができるとか、どれだけ修羅場をくぐり抜けてきてるんだと思ってしまいますね。以前にも当たり前のようにテロとか小規模な戦闘に巻き込まれて胆力を磨き上げてきたとかそんな猛者揃いなんですか、この世界のエリート学生ってのは(笑)

敵となる特殊工作部隊の主力があっさりと撃破されてしまって、上巻一番の盛り上がりがこれでいいのかなあとか思ってしまいますが、下巻の予告を見る限り、達也の正真正銘の全力が見られたりするのかな。今でさえ誰も叶わないと思わされる規格外の能力を持っているのに、さらにその上とか。もはや彼と敵対した連中に哀れみを覚えてしまうレベルですよ。並み居る敵を鎧袖一触に蹴散らす無双ぶりを堪能するにはこれ以上ないパターンになりそうですから、どう見せてくれるか、そこに期待したいですね。

何気に恋愛要素もあちこちで花開き始めてますね。達也と深雪の一線を越えるか越えないかの危うい関係ににやにやしながら、その周囲の友人たちの関係の変化にも要注目です。

hReview by ゆーいち , 2012/08/30

魔法科高校の劣等生〈6〉横浜騒乱編〈上〉

魔法科高校の劣等生〈6〉横浜騒乱編〈上〉 (電撃文庫)
佐島 勤 石田 可奈
アスキーメディアワークス 2012-07-10

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