学戦都市アスタリスク 01.姫焔邂逅

stars 俺はね、ユリス。ずっと探してたんだよ。自分がなにができるのか、なにをやりたいのか、なにをするべきなのか――成すべきことはなんなのか。大切な人が俺を置いて入ってしまったあの日から、ずっと。

学戦都市アスタリスク 01.姫焔邂逅 書影大

水上学園都市“六花"。通称アスタリスクと呼ばれるこの都市は、世界最大の総合バトルエンターテイメント《星武祭》の舞台として名を馳せている。
六つの学園に所属する《星脈世代》の少年少女が、煌式武装を手に己が願いをかけて覇を競う――天霧綾斗もそんな学生の一人。
星導館学園の生徒会長クローディアの誘いを受けて六花を訪れた綾斗は、転校早々《華焔の魔女》ユリスの怒りを買い、決闘をすることになってしまう。
「大人しくしていればウェルダンくらいの焼き加減で勘弁してやるぞ?」
「……それは中までしっかり火を通す気満々ってことだよね?」
ところが決闘の最中、ユリスを狙う凶弾が放たれ――?
最高峰の学園バトルエンタメ、ここに開演!

イラストの雰囲気とか、まんまISな感じでしたが、似たような何かにとどまらずに、独自の世界観をがんばって構築してますね。や、その分、設定とか用語がかなり多いので、時々ページを読み返す必要があったりしますが、ルビがないとなんと読むのかなあ? なんて思うレベルで、話を追うのには支障なんてないのですが。

ということで、割と気になってた新シリーズに手を出してみました。とはいえ第1巻の発売からすでに4ヶ月ェ……。時間の経つの早すぎ。

6つの学園が覇を競い合う《星武際》。その学園の一つ、星導館学園にやって来た主人公・綾斗はのっけからラッキースケベなトラブルに巻き込まれて、いきなり焼き殺されかける。もう、この時点で学園の生徒たちが尋常じゃないってのが分かりますが、とある事件によって世界的に異能を持つ人間が増えた近未来が舞台なだけに、科学と異能の両方でバトルをするというハイブリッドな世界観になってますね。この辺、かなり綿密に設定されてるようで、細かい所を語り出すときりがないような感じですが、必要に応じて説明が入る親切設計。読みやすさ重視な構成なので、ありがたいですね。

そんな感じで始まる物語。あとがきで大風呂敷を広げたと言うだけあって、1巻では本当にメインキャラの顔見せと世界観の説明が大部分だったような。それでも、ヒロインたちの可愛さやら、主人公の目的やら過去やら、そして学園都市に住まう生徒たちの日常など、過不足なくよくまとまってますね。

何より主人公の綾斗の好感度高いですね。一歩間違えばハーレムものになりそうな(もうなってる! という意見もありそうですが)男女構成比ながらも、良識的すぎて間違いが起こりそうにない安心感。何この紳士。そのくせしっかりと、知り合った女の子の好感度をぐぐっと上げてくれたり、そりゃあヒロインのユリスだって、初めての感情に戸惑いながらもジェラシったりしますね! 主人公を巡る恋のバトルも、実際のバトルと同様に熱くなってくれるとにやにやできて大変よろしいです。

そして、終盤で見せてくれた綾斗の実力の片鱗の描写も好み。リスクが大きく、使う意味を見いだせていなかった主人公に、その大きすぎる力が何のためにあるのか、そして、なんのために使うべきなのかを理解させるまでの長いプロローグの1巻でもあったんですね。いわゆる最強型の主人公ですが、決して万能でなく、さらに上がいそうなレベルに留めているだけに、一人では敵わない相手に対しての、パートナーとなったユリスとの共闘なんてのも燃えそうですね。《星武際》の初年が、そのタッグバトルで頂点を目指す《鳳凰星武際》だけに、綾斗とユリスの急造コンビがどういう風に成長していくのかも見物ですね。

そもそも《星武際》が3年かけて開催される大会で、6つの学園の幅広い年代から参加者が登場するということで、これから先どれだけのキャラクターが登場するのやら。しっかりと完結させるにはめちゃくちゃ時間がかかりそうですが、個人的には追っていきたい物語ですね。

hReview by ゆーいち , 2013/01/26

学戦都市アスタリスク 01.姫焔邂逅

学戦都市アスタリスク 01.姫焔邂逅 (MF文庫J)
三屋咲ゆう okiura
メディアファクトリー 2012-09-22