生徒会の土産―碧陽学園生徒会黙示録7

stars まいった。完敗だな、これ。凄いね……流石アンタの一年過ごした生徒会だ。

生徒会の土産 書影大

私立碧陽学園生徒会――そこは、美少女メンバー四人が集う楽園だが……え?「生徒会の一存って終わったんじゃないの?」って。HAHAHA、YOUは面白いことを言うね。日本には「立つ鳥跡を濁さず」ということわざがあるのを知っているかな?
というわけで『みんな集まれ!碧陽学園大合同二次会―ポロリは無いよ!』の開催をここに宣言しよう!
ある意味ラスボス的な存在の本妻、飛鳥や杉崎の妹、林檎も参戦。他にもあんなキャラや、こんなキャラなどオールキャスト総出演でお贈りする碧陽学園卒業式延長戦!最後の思い出は「らしく」たくさんの笑顔で――これがみんなの愛すべき日常。

[tegaki font="poptai.ttf" size="36″ color="DeepPink"]ばいばい、またね![/tegaki]

「生徒会の一存」シリーズ完結編! いや、その後にスピンオフ作品が出てるし読んでますけどね。どこまで続くんだこのシリーズ。多分、気が付いたときに読み切りが載ったりして、まだちょっとだけ続くんじゃよ?

まぁ、ともあれこれにて大団円。表紙も本妻(?)な飛鳥のナイスな肢体をこれでもかと見られる素敵なものになっていますね。……確かに、ラスボス。本編内での無双状態には手が付けられないっ……!

卒業式後の二次会を描いた後日談がメインとはいえ、前半はいつものに加えて、誰がここまで存在感が大きくなるかと思っていたような一年C組編の結末も収録されていますね。

「アレを継ぐもの」ではここにきて新キャラ投入の風見めいくさんの受難。ああ、新聞部のリリシア先輩ってこんな面倒なキャラだったっけ。生徒会メンバーとやり合ってるときは、ここまで強烈な傍若無人さを感じていなかっただけにちょいと引くわあ。そんな先輩の眼鏡にかなっためいくさん。ぽっと出かと思いきや、新生徒会の一存でも引き続き登場と、初お目見えにはそれなりの意味があったんですね。何気に終わり際に、新生徒会メンバー候補の情報を流したりしてるし、この段階であのストーリーできてたんですね。

続く「一年C組の告白」は、ある意味では二年B組以上に変人揃い真冬のストーカー揃いという目も当てられないようなクラスに突き付けられる現実。いや、もっと早く誰かツッコんでおけよと思わなくもないですが、腫れ物を触るような扱い、決して一定距離内に近づかず、みんなで愛でるだけという扱いは、金蘭でもあったけれどイジメと大差ないですよね、という話。そして、それを指摘すた葉露君の今まで溜め込んでいた恋心の吐露。どうして、こう、泣かせに来るような話を良いところに持ってくるかなあ。テンション高くギャグで押してきたかと思ったら一転、泣ける話に。自分に罰を与え続ける思い人、従姉の凛々の頑なな心を自分に向けるためのウルトラC。いや、確かに『家族』ってのは、きょうだいという関係とは別にそういう形もあるよね。外堀を埋められて、優等生キャラを維持できなくなるリリ姉可愛いよ可愛いよ。大切な人の死という悲しみを消すことはできないけれど、だからといっていつまでもそれを引きずって自分が幸せになってはいけないなんてことはない。決して忘れず、自分も幸せになるってことが、最良の選択なのだといつか気付くと良いですね!

雑誌掲載ではこれが最後だったのかな「続かない生徒会」。いや、生存戦略言いたかっただけじゃん? と思わざるを得ないけれど、最後の最後までこんなノリかよ台無しだよ。まぁ、会長が思わぬ告白にわたわたするのは眼福。なんだ、余裕で攻略されてるじゃん。嫉妬する他のメンバーも可愛いよ可愛いよ。

そして、正真正銘の最終話「碧陽学園第二次会!」。あんなキャラからこんなキャラまで出るわ出るわのオールスター。中には存在を完全に忘れてるようなキャラもいて、思い出すのに苦労しますね。これが、まさに生徒会を一年勤め上げたメンバーたちの集大成、これで終わるのは非常に残念ですが、止まるよりも前進を選ぶ前向きな面々の姿が素敵ですね。ここに来て正妻の座をこれでもかと誇示する飛鳥にヒロインズがことごとく打ち倒されるのは妙に笑えるんですが、むしろ男キャラの扱いのひどさに泣いた! 守ぅ……前巻の男泣きの意味はいったい……。深夏の言葉がひどすぎて、同情の余地もないな……と思ったらさりげに新フラグ立ってるし、超能力仲間っぽいし!? そして、延々と悩み続けた幼なじみと義妹の気持ちについての答えは、とうの昔に承知済みとばかりにあっさりスルーされてる主人公哀れ。ここにきてあの苦悩を全否定とか、主人公のアイデンティティがクライシスで大変な事に。このエクストリームなやりとりは精神的にハードですね、やめて、もう杉崎のライフはゼロよ!!

まぁ、そんな感じで最後は笑顔で終わらせてくれた生徒会の一存。とんでもない置き土産があったのは、もう苦笑するしかないですが、兄さん、実在したのね……全部あれで持って行かれましたよ、ええ。

hReview by ゆーいち , 2013/02/03