ノーゲーム・ノーライフ〈2〉 ゲーマー兄妹が獣耳っ子の国に目をつけたようです

stars ……人類なんて、クソみたいな生き物だよ。世界が変わっても、何も変わらん。だけど――『その可能性』は信じてる。

ノーゲーム・ノーライフ〈2〉 書影大

ニートでヒキコモリ、だがネット上では都市伝説とまで囁かれる天才ゲーマー兄妹・空と白。“神"を名乗る少年に“ゲームで全てが決まる世界"に召喚された二人は、またたく間に人類種の王座につき、異界の知識で内政を固め次の獲物を狙っていた。
『東部連合』――世界第三位の大国。獣人種……つまり獣耳少女の国。
「よしそれだその楽園は俺のもんだ獣耳っ子達を征服しに行くぞッ! 今! なう!」
「心が読める相手にどうやってゲームする気ですのよ! 落ち着きなさいな!!」
ついに異種族とゲーム開始――!! “最も新しき神話"の人気ファンタジー第二弾!

[tegaki font="crbouquet.ttf" color="Salmon"]獣耳っ娘かと思った? 残念、天使でした![/tegaki]

あらすじ見る限りでは対東部連合戦になるかと思ったら、前哨戦でしたの巻。あとがきによると、このエピソードも含めて3巻の内容まで1冊でやろうとしてたとか。MF文庫J初の1000ページ作品とかやれば良かったのに(えー

とはいえ、人類種の存亡を担う王となった空と白。他の種族への攻勢に打って出ようとは思うものの、肝心の情報が全くないという致命的な状況に頭を抱えていたり。この辺りが、猪突猛進の力で突き進む主人公とはちょっと違うところですよね。空の勝負に対する認識というのにそれが最も現れているのですが、勝負は始まる前に決着が付いているという、その言葉。敵を知り己を知れば何とやらともいいますが、すべては情報を集め、環境を整え、自分が勝てる状況を造り上げること、戦いの前段階から勝負は始まっているということ。

これに気付かなかったおかげで、人類種は領土も失い、後がない状況に追い込まれているわけですが、それもまた後半で明かされる事実への伏線だったとはなあ。あれだけ愚王だ愚王だといわれていた先王、ステフの祖父の本当の考えに皆が至るシーンは、なかなかに感慨深いものが。まぁ、それまでにさんざんいじられたりしてるステフを見てるんでそのギャップも凄いんですけどね! 彼女の扱い、1巻よりさらにひどくなっていってるなあ。もうメス犬扱いですよ、なにこれ、人権侵害甚だしい……って、ゲームで負けたんだから仕方ないですねー。

ギャップといえば、本巻のバトルのメインになる、天翼種のジブリール戦。ジブリールといえば個人的には魔界天使の方を想像しますが、似たようなもんですね。序列六位という文字通り天上に在る存在の彼女が、知識欲に負けてあれよあれよという間に空たちと全てをかけて戦うことに。異世界の書物4万冊とか、PC持ち込めてなければ無理な駆け引きですね。現代技術様々です。

で、戦いのお題はしりとり。そのルールがまた特殊で、こんなしりとり見たことねえ! とばかりにどんどんスケールが大きくなる大きくなる。お互いがお互いを追い詰めるために一手、また一手と状況を積み上げていく戦いの終盤の加速感はたまりませんね。単なるしりとりかと思ったら、天文学的な戦いに発展するとは! 異世界なのに元いた世界と常識がほぼ同じっていうのが気になるところではありますが、その辺ももしかしたら世界設定に関わっていることなのかな? 先に述べたように、戦いを始める前から勝利するためにあらゆる手段を使い、けれど、ルールに則って真っ向から格上の存在を打ち倒す。この爽快感は素晴らしいものですね。そして、確かに、こういう世界じゃなければ、人類には万に一つどころの勝ち目なんてないですよねー。何この常識外の生き物たち。

そんな戦いの先にある、東部連合戦は舞台をならして勝利への道筋が見えた……? と思ったら、え、何ですかこの引きは? 一体何が起こったのか、キングクリムゾンが発動して、時間が思いっきりすっ飛ばされていますよ。二人で一人のはずの空と白、それが分かたれてしまったら、どっちも役に立たないじゃないですか!? その直前に見せていた空の奇妙な言動が勝利への最後のピース、それが何なのか明かされてないのが気になって仕方ない! 次! 早く次を読むのです!

ステフさんへのあんまりな扱いも、これはこれでありなんじゃないかと思えてきてしまうのもそれはそれで。肌色成分多めなサービスシーンも素晴らしいし、全然健全じゃないけど! 映像化やっぱり無理だけど! 編集部よくやった! ぐっじょぶ。……この後彼女の身に起こる出来事を考えるといろいろアレなことになりますが、怒って泣いて、恋して大変な彼女の姿が、やっぱりこの作品に花を添えてくれてるのは確かな気がしますね。

いやぁ、なんかすごい勢いで話が盛り上がってきてワクワクしっぱなし。次の獣耳っ娘攻略戦も楽しみ楽しみ。

hReview by ゆーいち , 2013/02/04