聖剣の刀鍛冶 #15 Sacred Knight

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stars 眠りを解け。真実を貫け。風をセシリー貴女に。――――神を殺せ。

聖剣の刀鍛冶 #15 Sacred Knight 書影大

王と、獣と、機械機構と、神とも呼ばれた“それ”――。過去、初代ハウスマンが実験台と呼び、いま、帝政列集国が魔王と呼ぶ、大陸の心臓“ヴァルバニル”が、遂に火山の頂に威容を表す。高濃度の霊体を吐く一撃で新たな“爪痕”を穿ち、触手で敵味方なく戦士たちを奈落に引きずり込む巨竜に為す術のないセシリーたち。一方シーグフリードは大量の魔剣を投じ、ある“作戦”をはじめようとしていた――。
焔がすさび灼熱の炉と化す戦場の真ん中で、聖剣の騎士が真正面から立ち向かう!!
壮大なファンタジー叙事最新巻、遂に決! 着!

ああ、もう、最後の最後でしてやられた!

ヴァルバニルとの最終決戦は、まさに怪獣大決戦。あんな巨体を相手にどうやって倒すかと思ったら真っ正面からの正攻法で何とかしちゃうんだから、人間を舐めるな! といったところですねえ。とんでもない。

とにもかくにも、様々な因縁に決着が付くラストバトル。結局、真のラスボスだったシーグフリードは、その本真を誰にも明かすことなく自分の中で決着を付けて消えていきましたが、ルークとのガチバトルはこの物語の中でも屈指の死闘でしょうね。己の身を顧みない、ただ、相手を倒すためだけに全身を武器とするような命のぶつかり合い。痛み分けな決着ではありましたが、勝利がどちらに捧げられたのかは剣を交えた両者だけが分かっていればいいのかも知れませんね。

シーグフリード。悪役としての器量が群を抜いていたとか、世界をたった一人で敵に回す超越した能力を備えていたとかそう言うわけでもなく、彼がこれだけの大戦を仕掛けたのは、彼の中にある何かを証明したいという思いがあったからなのでしょうか。それが、たとえ、自分に一切の情を注がなかった仮初めの父が残したものだとしても、自分が生きた証を価値を、否定だけで終わらせることに耐えられなかった。少しでも認めてほしかったという、大人というよりも子どもに近い願望が根っこにあったように感じます。孤高でありながらも、人ならざる魔剣に囲まれ、決して孤独ではなかった彼。エヴァドニの分かりづらい愛情表現を最後に知って、彼がどんな顔をしていたのかは……また想像に任せるしかないですね。

最後の最後までとっておかれた、聖剣アリアの覚醒は、意外と拍子抜け? けれど、自分自身に叱咤されるような、ああいうシーンは嫌いではないですね。今となっては懐かしい口調の彼女たちとの対面と、激励は、聖剣アリアの最後の一押しとしてこの上ない力強さだったのかも。ようやく本当の相棒になれた二人の共闘の時間の短さと、すぐに訪れる別れの唐突さは、本当に覚悟していても切なくなってしまいますが、その中で結ばれた約束は、今までセシリーたちを縛っていた呪いではなく、確かな希望となっていて。

ああ、エピローグの最後の最後。ズルいなんてもんじゃあないでしょう。最後の一文で全部持って行かれました。『聖剣の刀鍛冶』このタイトルの意味が、ここに来て本当に生きてくる。それは12巻でセシリーが高らかに宣言した言葉通り、ルーク一人を指す言葉ではないということ。自らの力不足に泣き、しかし、確かに誓った約束を、使命を、たった一人、気の遠くなるような年月をかけて、子供たちを見守るように、育て鍛え上げてきた小さな悪魔の少女。彼女の本当の望みが、はるか未来についに叶ったということを知らされるラストシーンは、もう、万感という言葉でしか表せないでしょう。

セシリーやルークたちが、この戦いのあとどんな生き方をしたのか、それが語られるとしたら、最後に控えている番外編にでもなるんでしょうか。呪いから解き放たれ、ようやく幸せを謳歌できるようになった新婚さんの嬉し恥ずかしな姿もぜひ拝んでみたいものです。

ともあれ、15冊に渡る熱い熱い物語。ごちそうさまでした。

hReview by ゆーいち , 2013/04/14

聖剣の刀鍛冶 #15 Sacred Knight

聖剣の刀鍛冶15 (MF文庫J)
三浦 勇雄 屡那
メディアファクトリー 2013-03-22

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