ノーゲーム・ノーライフ〈4〉 ゲーマー兄妹はリアル恋愛ゲームから逃げ出しました

2013年6月24日

stars しつこい! 設定から十八禁な種族に関われねぇッ! ゾーニングを知れ!

ノーゲーム・ノーライフ〈4〉 書影大

ゲームで全てが決まる世界【ディスボード】――魔法や超能力を駆使する数多の敵を相手に連戦を重ね、なおも無敗を貫く最強ゲーマー兄妹『  くうはく』、だがそんな二人にもクリア出来たことがないゲームが、実は“二つ”だけあった……。
東部連合で優雅な休暇を満喫する二人を訪ねてきたのは、吸血種の少女・プラム。種の危機を救うことになった空と白だが、そのゲーム内容はまさしく二人が未クリアのゲームの一つ、「リアル恋愛ゲーム」だった――青い海を舞台に、咲くか恋の花! 今回はラ~~イトに行く、大人気異世界ファンタジーのラ~~イトな、第四弾……?

いったいどこがライトなのやら?

前巻の予告からしたら、息抜きになるかと思われた序列十五位・海棲種編。始まってみたら、序列十二位の吸血種まで絡んできて、話的には一気に進みそうなエピソードですよ。でも、2巻~3巻の構成のように、あくまで今回もまた導入から中盤まで、本格的な攻略はこれからというところで続いているので盛り上がりとしては次巻に期待という感じでクライマックス的な雰囲気はなかったんですけどね。

でも、その分、サブキャラの活躍が目に付いていて良い感じ。ゲームで下され、同盟を組む形になった獣人種の巫女さんやいづな、いのたちの味方としての活躍が始まったり、不幸漬けでいじられキャラの地位を確立したかに見えたステフも、彼女ならではの才能を発揮する場で無双状態。うーん、主人公二人の圧倒的すぎる強さの無双も熱いのですが、こういう風に味方勢の心強さを感じられるというのも、大きな野望へ着実に近づき、レベルアップしていることを実感させられるシーンの数々ですね。

息抜きといえば水着回♪ ではありますが、この作品に出てくる連中どうしてこうお約束を無視してくれるのか(笑) でも、こういうメタ的ないじりネタも嫌いじゃないですよ。

さてさて、向かう先は海の底の海棲種の都。勝負に用いられるゲームは「リアル」恋愛ゲームと斜め上の展開を見せますが、楽勝かと思われた16種族の中でも最大のおバカな種族となめてかかってはいけないのはお約束。おバカの仮面をかぶりつつも、上位の種族を破り実質的に支配下に置いているという異常な事態を理解し、正しく評価していたのは誰だったのか。ゲームプレーヤーとしては最強でありながら、生物としては存在としては最弱の人類種の、欠陥だらけの二人の王が舞台の裏に張り巡らされていた思惑を読み切って、さらにその上をいく展開は痛快そのものですね。

そして、彼らの、全ての種族を統一するために犠牲を出すわけにはいかないという覚悟が、単なる言葉以上のものであると信じさせられるお話でした。かつての敵、そして馬の合わないジジィ・初瀬いのを貴い犠牲にすることなく、しっかりと助け無傷のノーミスクリアをしてみると断言する空と白。その言葉が嘘ではないと断言されているだけに、彼らのこの世界攻略のための難易度の高さに、改めて気が遠くなる思いですね。自分たちへの信頼がない状態からそれを積み上げ、価値観も存在も大きく異なる16もの種族をまとめて神に挑むという無理ゲーのごとき道のり。けれど、それがリアルな恋愛ゲームでも人生ゲームでもないならクリアしてみせると宣言する二人の心強さといったらもうね。異世界に紛れ込んだ異分子二人。なんだかやはり存在そのものがイレギュラーで、単なる人類種の規格外なプレーヤーと言うのとはちょっと違うのかなあという伏線が少しずつ出てきてますね。

次巻では水棲種、吸血種に加え、ジブリールのお里・天翼種の本拠地アヴァント・ヘイムまで乗り込んで3種族一気に併合ルート? 上位種族のレベルの違いもイヤと言うほど描かれてきて、普通なら絶望感マックスになるはずなのに、それを感じさせない『  くうはく』の心強さは異常(笑) さてさて世界の真実にどんどん近づいている気がしますが、この一気に視界が開けるわくわく感、たまりませんねー!

hReview by ゆーいち , 2013/06/23