SS,ToHeart2

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微睡みに君を想う

 他人のベッドで寝ることになど、とうに慣れていた。
正確には違う。
柚原このみにとって、河野貴明は他人などではなかった。
隣に住む、一つ上の男の子。それは、最も近い家族でない誰かであり、そして最 ...

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お姫さまにはかなわない

 気が付けば日付が変わっていた。
「う~……眠れないよう」
つぶやいても、その声は冷たい空気をわずかに震わせ、夜闇に吸い込まれるだけだった。
ふと修学旅行の前日も、こんな風に期待と、興奮と ...

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春を待つ桜のように

 少しだけ早起きして、少しだけ早く家を出る。
河野貴明の今朝は、その一点を除いてはまったく代わり映えのしない一日の始まりのはずだった。
「おはよう、タカくん」
お隣りの柚原さんちの長女・このみ ...