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灼眼のシャナ〈19〉
私は貴方とは異なる、二人で生きる道として、これを選んだ。だから、実現を目指す。最強の自在法を、誰もがするように、二人で通い合わせる日のために。
『大命』を目指す“蛇”坂井悠二を追い、『詣道』に突入したシャナ。先代『炎髪灼眼』に優るとも劣らない力を覚醒させた彼女は、カムシン、ヴィルヘルミナ、レベッカら強大なフレイムヘイズと共に、決戦に備え突き進む。―そこに突如、茜色の炎が立ちはだかった。それは、最強の“殺し屋”サブラクによる開戦の烽火。一方、ゾフィー率いる兵団の活躍により、『星黎殿』はついに陥落寸前にまで達していた。その異常事態に自軍の危機を察した“仮装舞踏会”総司令官デカラビアは、意外な方策を採り…。フレイムヘイズと“徒”の一大決戦、その決着の行方は……。
拡大し熾烈さを増すフレイムヘイズと“徒”の互いの存亡と悲願をかけた大決戦。
敵となった悠二の手に落ちたシャナも待望の復活を果たし、いよいよ反撃ののろしを上げようとする第19巻。思えば遠くへ来たものです。
しかし、この大戦に突入してからというもの登場人物が非常に多くて、さらには局面局面において活躍してくれるものだから、状況をつかむのが大変ですね。あちらではフレイムヘイズ勢が優勢に戦いを進めたかと思えば、こちらでは“仮装舞踏会”側が劣勢を跳ね返そうと気勢を上げる。地球上の至る所で激突を繰り返す両勢力の、名だたる戦士たちがそれぞれ見せ場を用意されているようで、めまぐるしく切り替わり同時進行する戦いの行方を把握するのが一苦労。登場人物一覧とかほしくなっちゃいますね。
刻一刻と変化する戦局の中で、しかし、すべての命運を分けるのはここではない別の場所を目指し、詣道を進む祭礼の蛇やそれを追うシャナたち。少数精鋭同士の追撃戦。再び立ちはだかるサブラクに相対するのはヴィルヘルミナやカムシン、そしてレベッカという最大級の戦力。この両勢力の対決もまた本巻の見せ場の一つでしょうね。3対1という数の不利を感じさせないサブラクの強さと、その強さに反したかのような彼が彼として戦う理由。ここでゲーム版のシナリオも絡めてくるあたりが、この作品の綿密に構築された世界観を伺わせますが、ゲーム未プレーだとサブラクの回想で登場してくるメアに対しての思い入れが大きくないのが残念なところでしょうか。冷徹なマシーンのような殺し屋としか思えなかった彼の中にあった記憶が思いのほか暖かなものだったことに驚かされたりもしましたが。
そして、まさにこの戦いの中心にあるであろうふたり。シャナと悠二。互いを想い合いながらも、敵対することを選択したふたり。シャナの吹っ切れた想いと覚悟、悠二と戦うことに戸惑い、迷い、覚悟を下せなかった彼女とは別人のような姿で悠二の前に立つ彼女。自分自身で悟り、得た、愛という最強の自在法を手に誰もが思いつかなかった答えを突きつける彼女は、確かにこの場において悠二をして圧倒せしめる高潔さを身にまとっていましたね。
しかし、ここでも無情に訪れるタイムリミット。フレイムヘイズたちの奮闘むなしく、ついに現世へと帰還を果たしてしまった創造神。これまで繰り広げてきた大戦さえも、これから起きるであろう戦いのほんの序章でしかなかったかのような展開。これから先はさらなる総力戦でさらに凄絶な流れになっていきそうですね。ようやく復活したマージョリーもこれからの戦いでは大きな戦力となるはず。彼女の豪快な戦いっぷりにも期待です。
響き渡る新たな戦いの号砲をただただ自然に受け止めるシャナ。迷いなく、自分の信じたもののためにまっすぐに悠二と相対するシャナは、未だ実現できない、自分の決めた答えを叶えるために、最後の戦いに赴こうとしているのでしょう。
hReview by ゆーいち , 2009/11/17
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灼眼のシャナ〈18〉
行こう。悠二と向き合うために……この、本当の私として。
『大命』成就のため神門を通じ『久遠の陥穽』へと旅立つ“祭礼の蛇”と『三柱臣』たち。一方、残された仮装舞踏会の軍勢は、フレイムヘイズの拠点・外界宿への一大攻勢へと転じる。劣勢に立たされるフレイムヘイズ勢。未だ在処の分からない仮装舞踏会の拠点『星黎殿』陥落の鍵はシャナ奪還を目指すヴィルヘルミナたちの潜入作戦にかかっていた。そして、未だ捕らわれたままのシャナも、『星黎殿』まで飛び火してきた戦火に巻き込まれ……。
世界規模で勃発する人知れぬ大戦争。人外たちの戦いがいよいよ本格的になってきましたね。前回がその下準備のための巻だとしたら、今回ようやく戦いの口火が切られ、盛り上がってきたといったところですね。
囚われのヒロインとなっていたシャナもようやく彼女らしい活躍の場を得られたというか、なんか思いっきり覚醒してハイパー化してますが、まさかの天目一個さん再登場と、彼女の愛刀とシャナ自身の絆だとか、なんだか随分昔に語られたあれやこれやが、ここに来て大きな意味を持ってる怒濤の伏線回収が始まったり。
フレイムヘイズたちと、仮装舞踏会の各軍の戦いは、戦場が世界各地で同時多発的に行われているせいかそれぞれの戦いを深くじっくりと描くというよりも、刻一刻と変化する戦況のダイジェスト的な印象でしたね。てっきり、かつての外伝のようにそれぞれの戦場をじっくりたっぷりと語ってくるかと思いましたが、逆にスピーディに決戦へと移行していったように思います。またしても、大量にキャラクターが投入されてきましたが、そんな彼らの見せ場はこれからあるのでしょうか?
物語自体は、シャナが確固たる自分を得たことで、ようやく収束の方向が見えてきた感じですね。シャナ自身の思いが悠二に届かない現状、仇敵と化してしまった彼とシャナが通じ合うには、話し合いでは足りなさそう。戦って白黒付けるのか、あるいは別の方法を探るのか、これからは一気に結末まで駆け抜けてほしいですね。
……しかし、サブラクとか、まだ何か見せ場が残されてるの? どちらの勢力も幹部クラス以上の主戦力は健在だから、彼らの激突自体はばっちりと描かれることになりそうでしょうか。あっさりと退場させられたしまったフェルコーさんとか哀れすぎる……。
hReview by ゆーいち , 2009/02/19
- 灼眼のシャナ〈18〉 (電撃文庫)
- 高橋 弥七郎
- アスキーメディアワークス 2009-02
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灼眼のシャナ〈17〉
シロ……私、見つけたよ。最強の自在法は、ここにある。
創造神“祭礼の蛇”の代行体となった悠二は、己が大命の成就に向けて[仮装舞踏会]盟主として動き出す。一方、悠二に捕らえられ、コキュートスを奪われ、フレイムヘイズとしての異能を封じられたシャナは、自らの無力さに歯がみする。そして、[仮装舞踏会]の攻撃に晒され、壊滅的な打撃を受けた外界宿は、ゾフィー・サバリッシュの手により、未曾有の大戦に備えるべく体勢を整えつつあった。
ようやく刊行された本編第17巻。もう、前巻の話なんてだいぶ忘れてますが、ラスボス化した悠二がシャナを捕らえ、世界にケンカを売ったとかそんな流れだったような。
で、相変わらず悠二の考えが理解できません。彼と合一してる“祭礼の蛇”の大命こそが、自分とシャナの歩むべき未来だと考え、その悲願の成就に向けて協調しているというところは分かりますが、その過程で世界に引き起こされる大変革と大戦争によって生まれる影響とかを無視しまくってるような。シャナが守りたいと信じているものを壊してても、自分の我を通そうとする、ずいぶんと性格が変わったものです。オールバックだし。
全体的に[仮装舞踏会]サイドの優勢を感じさせる物語の運びですね。フレイムヘイズ側は戦力的にも組織的にも非常な劣勢に立たされている雰囲気です。終盤で少しずつ反撃の巧妙が見えてきたような流れですが、このまま激突したら勝利などおぼつかないという印象はぬぐえません。独立行動を取ることにしたヴィルヘルミナたちの作戦が成功しない限りは、フレイムヘイズ側の勝算はないんじゃないかなあ。その作戦も場当たり的だしなあ。潰れたままのマージョリーの復活とかも今後の課題ですしね。
で、まぁ、まだまだ準備段階という感じで、話が進みませんね。すでに半端ない登場人物の数で、シャナだけに焦点を絞って描ききれる規模のお話ではなく、群像劇と化しています。けれど、だからこそ、シャナの物語が動かないとおもしろみが感じられないというか。下準備に時間をかけすぎるといい加減苛立ちも感じてしまったり。今後の展開として、[仮装舞踏会]とフレイムヘイズの激突が描かれるんでしょうけど、その部分だけで文庫何冊使うことやら、さすがに冗長に過ぎると思ってしまうんですよね。
久々の本編の割りに、物語が進んでないなあと、そんな印象を持ってしまいました。
hReview by ゆーいち , 2008/11/09
- 灼眼のシャナ 17 (17) (電撃文庫 た 14-23)
- 高橋 弥七郎
- アスキー・メディアワークス 2008-11-10
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灼眼のシャナS〈2〉
いつか本当に長き時の刹那にでも、あなたがこうして安らげる「人間」と出会えれば良いですね…
奇妙な行動を取るシャナ。それを不審に思ったヴィルヘルミナは、悠二とともにシャナの尾行を開始する。シャナが秘密にしているささやかな出来事。悠二とシャナの道が別たれる以前の小さな物語『ドミサイル』。そして、新米たる炎髪灼眼の討ち手だったころの出会い、『ゾートロープ』。ヴィルヘルミナと『約束の二人』の出会いの契機となったエピソード『ヤーニング』。それは、今は遠き日の物語たち。
……えーと、ここまで露骨に引き延ばし戦略を採られると、最初に憤りが来るわけですが。
ということで、前回の短編集が出た時にも思いましたが、物語の佳境にさしかかっている時に、この短編集を出すのは読者の神経を逆なですると思わないのですかね。本編は、おそらくは来るアニメ第3期との連動狙ってたりするんでしょうけれど、そっちに興味ない人間にとっては、焦らしプレイどころか嫌がらせになってしまうことを理解してもらいたいなあ。都合1年待たされることになるのか。う~ん、ここまで来て切るのも微妙だし、適当に付き合うんですけどね。
さて、物語自体は、これまでの短編集よろしく、本編以前の外伝的な3編。
『ドミサイル』は、本編の殺伐さを思うと、懐かしくなることひとしおですが、この日常が、戦いの後、彼らの帰る場所であると願うことは、たぶん無駄なんだろうなあ。だからこそ、この日々の暖かさを、懐かしさとともに噛みしめるわけですが。
『ヤーニング』は因縁めいたヴィルヘルミナと『約束の二人』の出会いを描く物語。享楽的に生きる『約束の二人』と、使命に生きるヴィルヘルミナの不釣り合いな組み合わせがこのようにして生まれたんだなあと。キャラに思い入れないと、華麗にスルーされそうなエピソードですが、まぁ、これはこれで。
そして、人間界での経験がまっさらに近い、まだ名もなき炎髪灼眼の討ち手であった頃の彼女が、ゾフィーとの出会いで何かを学んでいく『ゾートロープ』。ゾフィーの予言めいた願いが、形を変えて本編で、シャナをどう苦しめているのか、それを今後彼女が知ることはあるんですかね。世間知らずな彼女を育ててきた父親代わりのアラストールが、ゾフィーとタケミカヅチのコンビに叱咤される様はコミカルなんですが、その境遇って実は結構きついんじゃないのかなあ。悠二と出会うまでのエピソードは、またこれからもいろいろ描かれたりしそうだなあ。
しかし、とにもかくにも、内容はともかく出版の順序が空気読めてないことこの上ないのは確かかと。こういうサブストーリーは本編の進行を妨げない形態で出してもらいたいんですが。次巻は秋とか冬になるのかなあ。とにかく待たせすぎですよ。
hReview by ゆーいち , 2008/06/15
- 灼眼のシャナS 2 (2) (電撃文庫 た 14-22)
- 高橋 弥七郎
- アスキー・メディアワークス 2008-06-10
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灼眼のシャナ〈16〉
大命の実現に向けて物語は動き出す シャナと悠二、ふたりの再会は戦火に彩られ
坂井悠二の存在の証が消えていく。あらゆる記録から、そして両親の記憶からすらも。かろうじて彼の記憶をとどめているのは、彼と深く関わり、「この世の本当のこと」を知った吉田さんをはじめとした一握りの友人と、シャナらフレイムヘイズたちのみ。
盟主の帰還に応じ、大命の実現に向けて動き出す仮装舞踏会。世界が大きく変革する、戦いは間近に迫る。
盟主・祭礼の蛇と化した悠二がシャナの前に立ちふさがる。街を再び訪れた彼の心に訪れた郷愁がなんとも切なく描かれていますが、これまでの悠二とシャナの戦いを振り返る描写もあったりして、これまでのおさらいができて助かった面も。
しかし、祭礼の蛇と悠二の人格が共存しているのか、妙な感じになってきてますね。仮装舞踏会が掲げる大命の実現、それ自体は、何の揺るぎもなく進行しそうですが、シャナという存在が悠二の中で大きくなりすぎてしまっている現時点で、祭礼の蛇と悠二が下した選択が今後どのような意味を持つのか。
話のスケールが非常に大きくなって、現世と紅世の双方を巻き込んだ大変革を目論む戦いが始まりそう。拠点を潰されまくり、劣勢のフレイムヘイズ勢の総力が結集し始めたラスト、これからは互いの存亡をかけた総力戦ですかね。
長らく引っ張ってきた、悠二の優柔不断さと曖昧な三角関係に一応の決着は付いたけれど、これから一体どうなっていくのやら。
hReview by ゆーいち , 2007/11/20
- 灼眼のシャナ 16 (16) (電撃文庫 た 14-21)
- 高橋 弥七郎
- メディアワークス 2007-11
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