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オオカミさんととっても乙女な分福茶釜
涼子さんがいなかったら、今のおれはないっスからね。だから大事にしたいんスよ。
いよいよ始まる御伽学園大文化祭。開催を目前に控えたある日、御伽銀行に助力を請うてきたのは訳あり美人の田貫さん。気になる和尚さんとの恋の仲介に、協力しましょうとおおかみさんたち。田貫さんの事情のおかげで、亮士くんも大変身? バカ騒ぎのお祭りモード、大文化祭の日々をとくとご覧あれ。
いやぁ、お祭り騒ぎは楽しい楽しい。
文化祭という一大イベントを前に東奔西走する御伽銀行の面々。まぁ、出番が多いのは主人公な亮士くんやおおかみさんだったりしますが、新キャラ登場や懐かしい顔の再登場もあったりと、まさにお祭り! なエピソード満載の1冊でしたね。
男を上げていく亮士くんと、そんな彼を認めつつもなかなか嘘の毛皮を脱ぎ捨てられないおおかみさん。ふたりの距離のもどかしいくらいの縮まらない様子には相も変わらずやきもきさせられますが、対人恐怖症を克服しつつある彼の、真っ直ぐな物言いは何かにつけておおかみさんを赤面させるわ喜ばせるわと、かつてのヘタれと呼ばれまくった頃とは別人のような成長ぶり。
そのおかげかいじられ具合もだんだん増していって、今回は人助けのためとはいえ男の娘に変身したりと……。この頭取さん、かつてないノリノリ振りであった(笑)
そして、一方の根は乙女(?)なおおかみさん。だんだんと周囲に張り巡らせていたバリアも弱まっていってるのか、クラスメイトからの受け入れられつつあったりと、彼女もまた亮士くんとの出会いで大きく変わっていってますね。言葉にできない本心を、彼に伝えるにはまだまだ気の長い時間がかかりそうだけれど、ナイスなコンビネーションを見せてくれたりと心の距離はどんどんと縮まっていってる感じ。良い雰囲気が長く続かなかったり緊張の余り暴れたりと、甘い関係は夢のまた夢ですが、そんな彼女を見ているのもまた楽しいと思うのですよね。
おおかみさん、かわいいよ、おおかみさん。
hReview by ゆーいち , 2009/05/24
- オオカミさんととっても乙女な分福茶釜 (電撃文庫)
- 沖田 雅
- アスキーメディアワークス 2009-05-10
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オオカミさんと洗濯中の天女の羽衣
オレはお前が嫌いじゃない。……今はまだこれだけしか言えない。オレの気持ちもまとまってない。ただ、いつか……。
突然の雨に降られ、乙姫さんの厚意で、おおかみさんと亮士くんが駆け込んだのは……ホテル! 濡れ鼠になったふたりは交互にお風呂に入って。亮士くんにとっては、まさに夢のような展開、おおかみさんの心を覆っている嘘の毛皮も、少しずつ剥がれてきてますが、ふたりはいったいどうなってしまうのか……? 御伽銀行の女子たちの、めったに見られないベストショットも満載、さらには雪女さんの恋バナまで、な第7巻!
お話は進んでないけど、おおかみさんと亮士くんの関係はじっくりと進行していますね。ふたりのハッピーエンドへの道しるべがぼんやりと示された気がするお話でした。
内容的には、バカやったり、ほのぼのしたり、ドキドキさせられたりと、それぞれバリエーション豊かで、この世界の居心地の良さみたいなのまで伝わってきますね。
特に、雪女さんの恋バナ『おおかみさん雪女さんの恋話をみんなと聞く』なんて、今では豪放なキャラになってる雪女さんと、旦那さんの若人さんの馴れ初めを、女性陣が興味深く聞いてみたりするお話ですが、そんな彼女の素敵な恋のお話に、憧れマックスなおおかみさんは、心の中で亮士くんのことをどう考えていたんですかねえ?
続く『亮士くんスキルを駆使してわらしべ長者を目指すことになる』では、これまであまり見られなかった御伽銀行の女の子たちの笑顔を激写するために、スニーキングミッションに挑む亮士くん。いや、わかる、わかるぞ、その気持ち。あの柔らかで、自分だけに向けられた笑顔を手に入れるためなら、たとえ道を外れかけようともやらねばならないことがあるということを。でも、やっぱり最後に美味しいところを持っていくのはりんごさんなんですね。まぁ、他のキャラの素敵な笑顔も見られたし、なんとも眼福なお話でしたね。
そして、これが本命? な『おおかみさん羽衣落として毛皮もちょっと剥げる』がまたにやけてしまいますねえ。場所が場所だけに、ヘタすりゃ大人の階段数段飛ばしで登ってしまうこともあり得ますが、まぁこのふたりですからねえ。ドキドキな展開は、ここぞというときにヘタれてしまう亮士くんのおかげで、またおあずけ。むしろ、彼のほとばしる欲望の行方が気になりますが、それは皆の妄想の中に……。ああ、汚れてしまう(笑)
それはともかく、おおかみさんの方からも亮士くんに少しずつ心を預けてきている感じ。亮士くんはどんどん格好良くなってきてるし、おおかみさんは彼しか知らない乙女な部分を見せてきてますね。まだまだおおかみさんに頭の上がらない亮士くんですが、かつての雪女さんがそうだったように、大切な女の子を守るための男の戦いが用意されてそうなのは間違いないでしょうね。この作品の負の部分を請け負っている鬼ヶ島の動きがほとんど描かれてませんが、そことの因縁も、また新たな局面を迎えそうですね。
hReview by ゆーいち , 2009/01/18
- オオカミさんと洗濯中の天女の羽衣 (電撃文庫)
- 沖田 雅
- アスキーメディアワークス 2009-01-07
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疾走する思春期のパラベラム この世の人々が許しあうまであと千億の夜
――この世界は、俺たちが大人になるまで大丈夫なんでしょうか?
心的爆撃を切り抜け、束の間の平穏を味わう城戸高校映画部の面々。しかし、彼らの知らぬ場所では、乾燥者による人類の虐殺が侵攻していた。定められた戦争の始まり。それは、静かに映画部の皆の近くにも忍び寄りつつあった。襲撃される尾妻、そして、一兎への気持ちを告げようとした志甫も、彼の目の前で攫われてしまい……。
一兎たち城戸高校映画部と、乾燥者との戦いが始まるかと思ったら、その前哨戦的なエピソードでしたね。もっとも、その敵が、本来なら共闘するべきパラベラム――灰色領域の残党ってのが、なんとも人類側の基盤の脆弱さを露呈させているように思えますが。
一方の乾燥者側は着実に成果を上げていて、近代兵器を擁する人類側の大規模な攻撃をもってしても、打倒することができないという、隔絶した戦力差を見せつけてますね。そんな中でも桑園高校のフライトたちの奮闘が光りました。絶えず劣勢に立たされているとはいえ、人類側にもまだ手は残されていると。自衛隊の中にいる、パラベラムの存在も気になりますし、次は反撃のターン……かな?
そんな大局をまだ見ることのできない一兎や志甫だけれど、彼らの世界は世界で、少しずつ変わっている感じ。一兎を意識するようになった志甫の、気持ちを伝えようとする決意もそうだし、漠然とした未来に不安を感じつつ、夢を抱く一兎もそう。明日、世界が終わるかもなんて不安を、戦うことで紛らわせているだけかも知れないけれど、その戦いが、未来を守ることに繋がるということを意識しているのでしょうか。今回は、危機に陥った志甫を、部活の面々が全力で助けに向かうというエピソードでしたが、そんな仲間を大切にする気持ちが、力になるんだなあと思わされる内容でした。
一兎自身も主人公らしい活躍を見せ、終盤の彼の覚醒シーンなどは、なかなかに燃えますねー。けれど、その覚醒が、彼の未来を大きく左右しそうな引きだし、ハッピーエンドはまだ見えない雰囲気。なんだか、タイトルと内容が大きく離れてきてる感じがしますが、思春期らしい彼らのエピソードももっと見てみたいかな。それは、戦いの後かもしれないけれど、掴んだ未来を幸せで彩る、そんな物語になってほしいなあ。
hReview by ゆーいち , 2008/12/27
- 疾走する思春期のパラベラム この世の人々が許しあうまであと千億の夜 (ファミ通文庫)
- うなじ
- エンターブレイン 2008-11-29
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疾走する思春期のパラベラム 心的爆撃
ごめんね。上手く死んであげられなくて
文化祭に向けて、一兎ら映画部も自主制作映画の上映に向けた最後の大詰めを迎えていた。そんな時、睦美の前に現れたのは、彼女にパラベラムの力を与えてくれた、かつての恋人・一子。自らの手で殺めたはずの彼女の出現と、彼女が今や〈灰色領域〉の幹部の一人であるという事実に、睦美は動揺する。そして、人類の敵たる乾燥者たちも、来るべき戦いに向けて動き出す。前哨戦ともいえる実験戦の場を、城戸高校に定め、心的爆撃をもって殲滅すべく。
うおお……。なんともやるせない結末です。サブタイトルとなっている「心的爆撃」のえげつなさもさることながら、パラベラムと乾燥者。敵対すべき存在として定められた者同士の、心のすれ違いが切ないです。一兎と美玖は、上手く行ってほしかったのに、こういう結末が用意されているとは。
一方の志甫とはなんだか良い感じなのだけれど、こちらが真ヒロイン? でも、そう、やすやすと鞍替えとかできる器用さもないだろうし。というか、やる夫は自重しろと(笑) まぁ、一兎と志甫は前巻からの映画撮影と、志甫の仇の打倒を通じて、かなり距離は縮まっているんだけれど、恋仲になる風景というのはなんとなく想像できないというか。今の距離感はなかなかに貴重な気もするんですが。
リーダー然とした睦美の過去も少しだけ明らかに。超然とした彼女の、冷めた過去と、そこで得た一子という存在。パラベラムの力に溺れたのか狂わされてしまったのか、道を違えたふたりが再会し、今後どのような道を歩むのか。〈灰色領域〉の先行き自体もかなり怪しいんだけれど、これは今後の“戦争”においてかなりのハンデになりそう。
次巻以降は、いよいよというか、ついにというか、人類──パラベラム──と乾燥者の総力戦に突入していきそう。現時点での戦力比較はどう見ても乾燥者側に有利なのだけれど、これまでの歴史の繰り返しよろしく、共倒れにならないぎりぎりの加減でつぶし合うのか、あるいは別の展開が用意されているのか。どうにも、暗い未来が予想されるのですが、一体どうなることやら?
hReview by ゆーいち , 2008/04/01
- 疾走する思春期のパラベラム 心的爆撃 (ファミ通文庫 ふ 1-2-4)
- 深見 真 うなじ
- エンターブレイン 2008-03-29
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疾走する思春期のパラベラム デイドリーム
すれ違う想い 交錯する運命 パラベラムと乾燥者の決戦の日迫る
夏休み。映画部の面々は本格的に映画撮影に乗り出す。主役は一兎、ヒロインは志甫。そしてキスシーンありの脚本に、志甫を意識し出す一兎。
時を同じくして、街を騒がす連続猟奇殺人事件。その手口は、志甫の兄を殺害したクロスドレッサーのものと同じで。クロスドレッサーを兄の仇と憎み、一人で討つ決意を頑なにする志甫。そんな彼女と一兎の気持ちはすれ違っていって……。
恋愛模様が一気に展開。でも、男女のカップルだけじゃなく、女×女とか、男×男とかのカップリングが出てくるのはどうなんだ。これが深見節か。『武林クロスロード』でその神髄は味わったけど、本作もどんどん色が出てきたってことなのかな。
パラベラムの集団・灰色領域と人類の敵・乾燥者の対決を前に、パラベラム同士の集団戦が行われそうな雰囲気。なんだか本末転倒な気がするけれど、その背景で明らかになってない設定がまだあるのか?
新キャラの美玖は、その立ち位置自体が一兎にかなり近く、今回のエピソードでふたりの関係は因縁めいてきました。彼女の出自自体も、対立が運命づけられたような皮肉なもので、彼女の命運がこれからの戦いの中でどのように揺れ動いていくのかも要注目。
そして、志甫がさりげなく一兎に示している好意の意味は。頓挫している撮影の再開とともに、ふたりの距離も一気に近づいていきそう。
hReview by ゆーいち , 2007/09/23
- 疾走する思春期のパラベラム デイドリーム (ファミ通文庫 ふ 1-2-3)
- 深見 真 うなじ
- エンターブレイン 2007-08-30
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