Home > Tags > とらドラ!
とらドラ! Tag Archive
とらドラ10!
俺のこれからの日々を、これから先の全部を、すべてを、おまえと一緒にやっていく。一緒に暮らそう。これからずっと。
お互いの気持ちにようやく気づいた竜児と大河。大人の論理という、子どもたちにとってはどうしようもない法則に支配される世界から逃れるべく、駆けだしたふたりに行き先はなく、雪の舞う夜に当て所なく彷徨う。ぎりぎりの状況下、竜児が下す決断とは、そして、ふたりの想いの行方は……。
ラブコメという線引きなんて軽々と飛び越えて、素敵で素晴らしくてどこまでも幸せなラストに万歳!
大人になりきれない子どもたちの精一杯と、そんな子どもたちを慈しむ大人たちのすれ違いと歩み寄りからここまでの大団円が描かれるとは、竹宮ゆゆこ恐るべし!
前巻の引きと今巻の中盤までの重苦しさから大反転したかのように一気に広がる世界。竜児の世界を変えてくれた大河の存在の重みと暖かさ、そして大河をそばで見守り続けた竜児によってゆっくりとはぐくみ続けてきた彼女自身の本当の気持ちの結実、一年という短いようでいて彼らにとってはとても長かった波瀾万丈な季節の移ろいをともに過ごして、ようやくたどり着いたゴールと新しいスタートのお話。ああ、もう、こんな再出発を祝わずにいられるかってもんですよ。
中盤以降は竜児と大河の問題というよりも、竜児が今までため込んでいた彼の家族に関する問題への答え合わせ。竜児と母親であるやっちゃんとのすれ違いも、確執も、もっと大きな家族という枠組みの中で解決してみせて、手にすることができた幸せ。彼が自分の生を、自分の幸せを全肯定できるようになったのは、家族もののお話の落としどころとしては予定調和的ではありますが、それが何よりも幸福であるということに疑いはなくて。父親の存在はぼかされたままだけれど、そんな高須家の事情を、竜児は大河に重ねてみたり、その痛みを知っているからこそ大河と作り上げていく幸せは揺るぎないものになるんじゃないかと思えてみたり。
一方の逢坂家の事情は、割とあっさりと流されたような気はしますが。逢坂父の転落も、逢坂母の事情も、遠い世界の出来事のように聞こえたり、あるいはそれが竜児と彼らの距離感なのかもしれないけれど。今後は新しく家族になっていく存在がいるということは、かつてやっちゃんが彼女の父母との間に生んでしまったわだかまりを、長く長く引きずることなくどこかで向き合う日が来るという願いを抱いてしまいます。
ああ、そして、竜児のまわりの友人たちもいい働きしまくりでしたね。そんなみんなの姿こそが、竜児が望む幸せな世界。実乃梨と亜美の本音のぶつかり合いと和解も、竜児と大河のそばにいるために必要な通過儀礼に思えたし、北村の応援と信頼も、かつてふたりが彼に寄せたそれに応えるものに思えます。春田や能登、麻耶、奈々子たちの協力も、そんな子どもたちを見守る教師である恋ヶ窪先生も、誰が欠けてもきっと竜児たちの幸せは完成しないのでしょうね。
青臭い理想でも、子どもの論理でも、それを願って実現しようと精一杯毎日を送る姿はまぶしくて。そんな竜児の望む幸せの世界に、竜児自身も迷いなく含んで笑いあえる、これまでも迷い迷った一年を経て、新しく始まる高校生活最後の一年がとんでもなく楽しいことになるのに疑いないですね。ああ、こういう終わり方が見られて幸せでした!
今後出る短編にもちょー期待! ごちそうさまでした。
hReview by ゆーいち , 2009/03/08
- とらドラ〈10!〉 (電撃文庫)
- 竹宮 ゆゆこ
- アスキーメディアワークス 2009-03-10
- Amazon | bk1
- Comments: 0
- Trackbacks: 1
とらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋
大河……こうなったらもう、しょうがねえだろ。わかるな……ダイエットだ。俺も付き合う。一緒にやる。俺にはその責任が、ある!
食欲の秋! いっそう増進する欲望を抑えることもできず、大河は肥えた。目を背けてきた現実を、竜児や実乃梨、亜美、あげくの果てに北村にまで指摘され、大河は一念発起、ダイエットへと挑む! 初体験のジムで大河たちを待ち受けているものとは……!? 電撃文庫MAGAZINE 掲載の短編を収録したスピンオフ第2弾。独身(30)の悲しくも心打つ過去も明らかに!
本編がひたすら重苦しい展開になり、次が待たれるところですが、箸休め的に軽いエピソードでもどーぞな短編集。
大河と竜児の関係が近づききっていない季節の、微妙な距離間。竜児は大河の面倒を見ることを使命と信じ、大河は竜児を下僕扱いしていた頃の、騒がしくも楽しい、懐かしき日々。必死にダイエットに挑んだり、ヘアスタイルの変更に苦悩したり、実りの秋に収穫作業にいそしんだりと、それほど特別でもなく、けれどだからこそ愛しく思える日常の姿。ああ、こういう短編集なら大歓迎かなあ。逆に本編が終了した後にこういうエピソードが語られたら、もっと切なくなってしまいそうですし。
そして、本編ではこれでもかとそのバカさを誇る春田のエピソードと、不幸を体現したかのような独身(30)のお話が、輪をかけて素敵。
いや、どちらも妙に生々しい恋愛観や仕事観に彩られていて、楽しさとはまた違った方向のお話でしたね。
本編ではなかなか顔と名前が一致しなかった脇役程度の認識しかしていなかった春田の、こういうエピソードを見てしまうと、少し見る目を変えてしまいますねえ。バカだからこその核心を突いた物言いで愚直にぶつかり続ける春田の姿に驚かされたり。終盤の春田の言葉はきっついなあ。子どもの視点からの、大人の恋愛へのアンチテーゼにも見えて、そしてなんだか、これからの本編の重苦しさを暗示しているような気もして。
そして、書き下ろしの独身(30)の話もまた素晴らしい出来。というか、彼女が送ってきた教師生活の艱難辛苦さの一端が感じられるというか、昔っから男運がなかったのか……。でも、こういう経験を積んできたからこそ伝えられる言葉が生まれてるんだろうな。だんだんと株を上げてきてる彼女に、春が訪れる日は来るのか? いや、ホント、いい先生だと思いますよ。
そんな素敵な短編集。いやいや、堪能させてもらいました。
hReview by ゆーいち , 2009/01/17
- とらドラ・スピンオフ〈2!〉虎、肥ゆる秋 (電撃文庫)
- 竹宮 ゆゆこ
- アスキーメディアワークス 2009-01-07
- Amazon | bk1
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
とらドラ9!
さあ、行こうか、高須くん。それぞれ行くべきところが、私たちにはある。
雪山遭難事件で、大河のほんとうの気持ちを知ってしまった竜児。彼女の気持ちを知ったことを伝えることも、応えることもできないまま、さらに追い打ちをかけるように、自分の進路について母親の泰子と衝突する。家庭の事情を考えて現実的な選択をしようとする竜児と、ただただ勉強して欲しいと進学を促す泰子、ふたりの意見はすれ違いを続けたまま、答えはどこにも見つからなくて……。
にしても、独身(30)の言葉はいろいろと重い。というか、自分にとっても身につまされる言葉が多いし、今になって振り返ってみると納得できる部分もあったりと、なんかこれまでの色物扱いが嘘みたいにしっかりと生徒のことを考えている先生してるんだなあ。これまで出てきた大人たちは、どこか歪な感じがしたひとたちだったけれど、彼女は正直見直しました。が、その辺の思いやりもなかなか教え子たちには届かない感じで……。
恋の問題はようやく片が付いたような感じ。実乃梨の思いもようやくはっきりとして、決着を付けて、前に進むことができたんでしょうか。亜美とは別の意味で、実乃梨も強くて、自分を貫くために傷つくことも厭わない、そして自分のほんとうの幸せがどんなものであるのかを具体的に確りとした形で描いて、そこへ向かうことを決めたからの今回の選択。グダグダの泥沼になるかと思いきや、彼女のまっすぐさがそこからすくい上げてくれたように思いますね。
そして、竜児と大河の関係はようやく落ち着くところに落ち着きそう。
と思いきや、またしても鬼のような引き。逃げ場のない袋小路に追い詰められつつある竜児と大河。現実と、そして実の親という簡単には超えることのできない高い高い壁を目の前に、逃げることしかできなかったふたりは、やっぱり大人になりきれない子どもなんでしょう。けれど、それがいけないということではなくて、この時期に多分誰もが悩んだり苦しんだり、漠然と不安を抱いたりした、未来というそんな漠然としたことにたいして、それぞれが真面目に向き合い、答えを出す過程において、おそらくは避けることのできないエピソードなのかなあと。
物語の収束は間近な印象。進級を前に、それぞれはそれぞれの未来を歩むために、どんな答えを見つけ出すのでしょうか。
hReview by ゆーいち , 2008/10/12
- とらドラ 9 (9) (電撃文庫 た 20-12)
- 竹宮 ゆゆこ
- アスキー・メディアワークス 2008-10-10

- Comments: 0
- Trackbacks: 0
とらドラ8!
私は『あんた』を信じてるの。あんたは、みのりんが恋をするにふさわしい人間だって。それだけの理由がある人間だって。
クリスマスイブに受けた実乃梨からの拒絶、そしてだめ押しとばかりに罹ったインフルエンザで散々な冬休みを過ごした竜児は、傷心のまま新学期を迎えようとしていた。そして、大河から突然告げられる竜児からの自立宣言。まっすぐに実乃梨と向かい合えない竜児は、目前に迫った修学旅行を最後のチャンスととらえ、彼女の真意を確かめるため決意を固める。
竜児の、大河の想いが動き出したのは良いことだったのか悪いことだったのか。前巻のクリスマスの出来事が尾を引いたまま迎えた修学旅行は、波乱の予感。
舞台が修学旅行へ移る前の、ぎこちなくなってしまった人間関係が痛いですね。竜児は実乃梨とぎこちなくなるし、大河は竜児からの独立を一方的に宣言するけれど、らしくないくらいに罪悪感を抱いている。実乃梨は竜児に取った態度の後ろめたさを感じさせない様子で新学期を迎えるし、亜美に至っては竜児に対して露骨に悪意をぶつけてくる。ちょっとだけすれ違いが生まれただけなのに、ここまで歯車が噛み合わなくなってしまうというのは、本当に切ないですね。それが、雪山でのさらなる混乱の種になってるわけですが。
衝突する実乃梨と亜美。亜美が突っかかって行っている理由は、明確にされないままだけれど、竜児が実乃梨に対して感じた苛立ちだったりと似たような気持ちで、竜児にはできないことを、言えないことをぶつけているように感じますね。実乃梨が頑なに自分の世界を堅持したがる本当の理由が未だに分からないけれど、それを竜児が知って、本当の彼女の姿を見たときにこそ、竜児自身の気持ちがようやく固まるんじゃないかと、そんな気がします。
そして、大河の気持ちの行方ももうひとつの問題。北村を想っているはずなのに、距離が縮まったことが喜ばしいはずなのに、大河の心の中の大きな部分を占めている竜児。結局、大河は竜児への依存を止めることができなそうだし、それは竜児の大河への世話焼きがあるからだけでなく、知らぬ間に心まで救われていたという、そんなことに気付いたからなのか。
こんがらがった恋心と友情と、気付いているはずなのに認められない自分の気持ち。もう、コメな要素が消し飛んでしまって、終盤は胃がきりきりするような愁嘆場の様相を呈してきていますが、この出口の見えない物語にせめて暖かな光が差してほしいと、そんな風に思います。
hReview by ゆーいち , 2008/08/09
- とらドラ 8 (8) (電撃文庫 た 20-11)
- 竹宮 ゆゆこ
- アスキー・メディアワークス 2008-08-10
- Comments: 0
- Trackbacks: 1
とらドラ7!
……結局みんな、自分のことが、一番わかんないんだよね
大河の停学が明ける。登校再開の前日、彼女を祝おうと、竜児は大河と買い物に出かける。時節は折しもクリスマスシーズン。無邪気にクリスマスを楽しみにし、サンタを信じる彼女は、普段の凶悪な手乗りタイガーとは違って猫を被ったかのような良い子ぶりで。一方、生徒会長に就任した北村は、有志によるクリスマスパーティを企画。元気のない実乃梨を盛り上げようと、竜児は彼女を誘おうとするが、ふたりの距離は微妙に離れてしまったみたいで……。
ラブコメのコメの要素がどっか行ってしまった!? 前半のだらだらとした、あるいは、陽気な学園祭準備とかクラスメイトとの馬鹿騒ぎとかはどこ行ったんでしょう。というか、全編通してやっぱりどことなく雰囲気が重い感じがしました。
ムードメーカーたる、実乃梨が消沈していて、彼女のワケの分からない勢いの良さがなりを潜めてしまうと、かみ合っていた歯車はこうも容易く空回りしてしまうのかと。実乃梨が竜児と距離を取りがちになった理由、大河と北村の近づいた距離にやきもきする竜児、そして、竜児と実乃梨の恋の行方を応援しながらも、ふたりの関係が接近することに言いようのない不安を感じてしまう大河、お互いの気持ちの方向が一方通行じみているだけに、この混沌とした状況は簡単には解決できないだろうな……と思っていたら。
最後の最後でとんでもない展開が。というか、これ、ラブコメじゃなかったのー!? なんか修羅場の予感がひしひしとしてきましたよ。というか、竜児の恋の行方はどうなってしまうの!? 実乃梨も大河も、自分の気持ちを自覚しつつも、ふたりが互いに遠慮し合っているようなもどかしさが、親友という間柄だけになおのこと切なく映ります。竜児自信も、自分が誰といっしょにいたいのか、誰に幸せになってもらいたいのか、おぼろげな答えを得つつも、それと真っ正面から向き合うには少々遅すぎたような……。
そして、この四人とは別の視点から彼らを眺める亜美。後からこの輪に加わった彼女がこぼした本音とも取れる一言は、それこそ彼女の後悔と切望なのか。猫被りを止めて本性を見せつつも、受け入れられているこのクラスに、彼女なりの愛着を感じつつも、真に交わることができないと悟ったような達観さも見え隠れして、損な役回りに思えてしまいますね。
しかし、ここまで来たら、この物語のラストの選択肢というのは絞られ切ったような感じですが、一体どうなることやら。このエピソードとして恋愛ものとして大化けした感のあるお話ですが、だからこそ、これまでやって来たバカな展開が懐かしくもあり、いつか戻るべき日常として大切に思えてしまいますね。
hReview by ゆーいち , 2008/04/26
- とらドラ 7 (7) (電撃文庫 た 20-10)
- 竹宮 ゆゆこ
- アスキー・メディアワークス 2008-04-10
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
Home > Tags > とらドラ!
- 応援中
- サイト内検索
- フィード
- メタ情報
- 52 queries.
- 0.490 seconds.

